病院・クリニックで必要な非常用トイレ対策|患者・職員を守る防災備蓄ガイド

病院・クリニック向け非常用トイレ対策を紹介するイメージ。患者・職員を守る防災備蓄ガイドとIPIC SONAE「トイレのミカタ」

大きな地震や豪雨で断水・停電が起きると、病院やクリニックでも水洗トイレが突然使えなくなります。しかし入院患者や急患は、トイレを我慢することができません。ライフラインが止まっても排泄は待ってくれない——これが、医療機関のトイレ対策が一般企業以上に切実である理由です。

この記事では、内閣府・経済産業省・厚生労働省などの公的情報をもとに、病院・クリニックで非常用トイレ備蓄が重要な理由から、患者・職員・付き添いまで含めた備蓄数の目安、BCP(業務継続計画)への組み込み方までを、防災担当者がそのまま検討に使える形で整理します。

この記事でわかること

  • 病院・クリニックで非常用トイレ備蓄が重要な理由
  • 患者・職員・付き添いを含めた備蓄数の目安(人数別シミュレーション)
  • 医療機関に適した非常用トイレの選定条件
  • 発災直後から72時間までの運用フローとスタッフ対応
  • BCPへの組み込み方と、そのまま使えるチェックリスト

なぜ病院・クリニックでは非常用トイレ備蓄が重要なのか

結論から言えば、病院・クリニックでは断水・停電・下水停止でトイレが同時に使えなくなっても、入院患者や急患の排泄を止めることができないためです。非常用トイレは、水・食料・医薬品と並ぶ最優先の備蓄品といえます。

災害時にトイレが使えなくなるのは、建物が壊れたときだけではありません。次のような理由で、建物が無事でも水洗トイレが機能しなくなります。

断水・停電・下水停止でトイレは同時に止まる

  • 断水:水道が止まると、水洗トイレは流せなくなります。
  • 停電:受水槽・加圧ポンプで給水しているビルでは、停電すると上層階のトイレの水が出なくなります。
  • 下水・排水管の損傷:地震で下水道や建物内の配管が壊れると、水があっても流してはいけない状態になります。無理に流すと逆流や漏水の原因になります。

病院は中層〜高層の建物が多く、停電でエレベーターが止まると、使えるトイレへ患者を移動させること自体が困難になります。「建物は無事なのに、トイレだけが機能しない」という事態は、過去の災害でも各地で起きています。

患者は「移動できない・我慢できない」

医療機関には、自力でのトイレ移動が難しい方や、排泄を我慢することが健康リスクに直結する方が多く滞在しています。一般企業との最大の違いは、この点にあります。

  • 入院患者:点滴中・術後・安静指示など、自由に動けない方が多くいます。
  • 高齢者:トイレを我慢すると体調を崩しやすく、脱水にもつながります。
  • 障がいのある方・車椅子の方:移乗や動線に個別の配慮が必要です。
  • 人工透析の患者:治療が水インフラに強く依存し、体調の変動も大きくなりがちです。
  • 妊婦・産科の入院患者:分娩や入院で、トイレを含む排泄環境の確保が欠かせません。
  • 付き添いのご家族:患者に付き添って院内にとどまる方の分も必要になります。

「トイレが使いにくいから水分を控える」という行動は、脱水や体調悪化を招く逆効果の対応です。トイレを使いやすく整えることこそが、患者と職員の健康を守る備えになります。トイレを我慢することのリスクは災害時にトイレを我慢する危険性でも解説しています。

院内の衛生・感染リスクにも直結する

医療機関では、トイレ環境の悪化がそのまま感染リスクにつながる点も見逃せません。院内には免疫が低下した患者や、感染に弱い高齢者が多く過ごしています。汚物が適切に処理されずに滞留すると、臭気だけでなく、感染の広がる原因にもなりかねません。

だからこそ、消臭・抗菌性能のある凝固剤と処理袋(防臭袋)で、排泄物を素早く固めて密閉することが、院内衛生を保つ初動になります。使い捨て手袋や手指消毒とセットで運用し、使用済みの袋はためこまず、決められた場所へ密閉して集約する。この一連の流れを平常時に決めておくことが、感染対策の面でも重要です。

内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」でも、発災直後からトイレの需要が発生し、水や食料と並んで初動で確保すべきものと位置づけられています。人が集まり、要配慮者が多い医療機関ほど、トイレの確保は初動対応の要になります。非常用トイレの基本は非常用トイレ完全ガイドもあわせてご確認ください。

一般企業と病院・クリニックの違い

同じ「事業所の備蓄」でも、病院・クリニックは一般企業と前提が大きく異なります。違いを整理すると、より手厚い備えが必要な理由が見えてきます。

観点 一般企業・オフィス 病院・クリニック
滞在時間 日中が中心。帰宅も選べる 入院患者は24時間365日滞在する
対象者 主に健康な従業員 患者・要配慮者・付き添いを含む
我慢の可否 短時間なら我慢できる 我慢が健康被害に直結しやすい
移動 自力で移動できる 自力移動が難しい患者が多い
衛生・感染 一般的な衛生管理 院内感染対策が不可欠
稼働 一時休業も選択肢になる 診療・治療を止められない
計画 BCPは推奨 災害拠点病院はBCP策定が指定要件

オフィス一般の備え方はオフィス向け非常用トイレの選び方、介護・福祉施設の視点は介護施設・福祉施設の非常用トイレ対策で解説しています。病院・クリニックは、その両方の課題をあわせ持つ点が特徴です。

病院・クリニックではどれくらい備蓄すべき?

結論として、備蓄数の目安は「対象人数 × 1日5回 × 日数」で計算します。まずは最低3日分、可能であれば7日分を目標にすると安心です。

計算式
必要回数 = 1日5回 × 対象人数 × 日数
(3日分=1人15回、7日分=1人35回が目安)

経済産業省は、成人の平均的な排泄回数を1日5回とし、災害時用トイレを1人あたり35回分(7日分)備える目安を示しています。

病院・クリニックで備蓄対象に含めたいのは、次の人たちです。発災した時間帯に院内に滞在し得る「最大人数」で考えるのが基本です。

  • 入院患者:全員が24時間滞在します。
  • 外来患者:発災時に院内にいる方、直後に来院する方を想定します。
  • 医師・看護師:泊まり込みで対応する職員も含めます。
  • 事務・技師・委託スタッフ:給食・清掃・警備などの常駐者も忘れずに。
  • 付き添いのご家族:小児・高齢・重症の患者に付き添う方の分も加えます。

対象者1人あたりの目安(1日・3日・7日)

まず、1人あたりの必要回数を押さえます。ここに対象人数と日数を掛けると、施設全体の必要量が見えてきます。

備える日数 1人あたりの回数 位置づけ
1日分 5回 最低限のライン
3日分 15回 発災初動から外部支援が届くまでの目安
7日分 35回 ライフライン復旧の遅れまで見据えた水準

1人あたりの回数の詳しい考え方は非常用トイレは何回分必要?で解説しています。

施設規模別の備蓄シミュレーション

合計人数(入院患者+外来+職員+付き添い)ごとの必要回数を早見表にまとめました。1人1日5回で計算しています。自施設の規模に近い行を目安にしてください。

合計人数 1日分 3日分 7日分
50人 250回分 750回分 1,750回分
100人 500回分 1,500回分 3,500回分
300人 1,500回分 4,500回分 10,500回分
500人 2,500回分 7,500回分 17,500回分

病院とクリニックでは規模が大きく異なりますが、計算式は共通です。総合病院なら数百人規模、有床診療所や無床クリニックなら数人〜数十人規模と、対象人数を置き換えるだけで必要量が算出できます。加えて、災害発生後は近隣からの外来・救急患者が増える可能性があるため、平常時の在院者数だけでなく、受け入れ見込み分の余裕も持たせておくと安心です。

「出勤者数」だけで計算しない
入院患者は常に院内におり、発災後は外来・救急の受け入れも想定されます。透析・妊娠中・服薬中の患者は排泄回数が増える場合もあるため、計算結果を下回らないよう、余裕をもって見積もると安心です。法人としての詳しい算出手順は法人の非常用トイレ備蓄の考え方もご参照ください。

病院で使う非常用トイレに必要な条件

結論として、医療機関で使う非常用トイレは「大量・長期・衛生・簡単」の4つが軸になります。家庭用よりも、衛生面と運用のしやすさが厳しく問われます。次の条件で比較すると失敗しにくくなります。

家庭では、1つの家族が数日間使う前提で選べます。一方、病院・クリニックでは、不特定多数の人が長期間にわたり、しかも院内感染対策という厳しい基準のもとで使用します。この前提の違いが、そのまま選定条件の重さに表れます。価格だけで選ばず、長期保管した後に確実に使えること、担当者が変わっても運用できることを重視しましょう。

条件 内容 病院・クリニックで重視する理由
消臭・抗菌 臭いや雑菌の増殖を抑える 閉鎖空間・多人数・院内衛生の維持に直結する
高い凝固性能 排泄物を素早く固める 液漏れや逆戻りを防ぎ、後処理を衛生的にする
長期保存 10〜15年など長く保管できる 大量備蓄の入れ替え負担とコストを抑えられる
大量備蓄・省スペース まとめて保管できる 数千回分を各病棟へ分散して置きやすい
簡単設置 便器に袋をかけ凝固剤を入れるだけ 担当者以外の職員でも短時間で使える
処理のしやすさ 処理袋(防臭袋)が付いている 使用済みを密閉し、衛生的に一時保管できる

凝固剤の仕組みは非常用トイレの凝固剤とは、選び方の全体像は非常用トイレの選び方で基礎から整理しています。あわせてご覧ください。

病院・クリニックで併せて備えたい関連用品

非常用トイレは、本体だけでは十分に機能しません。多くの人が使い、感染対策が強く求められる医療機関では、家庭以上に関連用品をセットでそろえておくことが大切です。誰もが安心して使える環境をつくるために、次の用品もあわせて備えましょう。

  • 使い捨て手袋:排泄介助や汚物処理時の感染対策に欠かせません。
  • 手指消毒液・アルコール:断水時でも手指の衛生を保てます。
  • 処理袋・防臭袋:使用済み袋の臭気と感染リスクを抑えます。
  • ポータブルトイレ:移動が難しい患者や車椅子の方への対応に役立ちます。
  • 目隠し・簡易パーテーション:プライバシーと安心感を確保します。
  • 照明・ライト:停電時や窓のないトイレでの使用に必要です。
  • おむつ・生理用品:要配慮者や女性への対応として備えておきます。

これらは非常用トイレと同じ場所に、セットで保管しておくと、非常時に迷わず使えます。ポータブルトイレと非常用トイレの使い分けはポータブルトイレと非常用トイレの違いもご参照ください。

災害時の病院トイレ運用ポイント(時系列)

備蓄があっても、いざというときに使いこなせなければ意味がありません。発災直後から72時間までを時系列で整理し、各フェーズの状況とスタッフ対応を確認しておきましょう。まずは「72時間は自力で乗り切る」を前提に組み立てるのが基本です。

フェーズ 院内で起こること スタッフ対応
発災直後
(〜数分)
安全確認の最中で、水洗トイレの使用可否は不明 水洗トイレの使用を一旦停止し、使用禁止を掲示。負傷者対応を優先する
数時間 断水・停電が判明し、患者のトイレ要求が始まる 非常用トイレを各病棟へ配布し、使い方を職員へ周知する
24時間 断水が続き、外来・救急も来院し始める 使用ルールを徹底し、汚物の一時保管を開始。役割分担を明確にする
72時間 外部支援が本格化するまで、自力での対応が続く 備蓄をローテーションし、臭気・衛生を管理。職員の交代体制を回す

特に注意したいのが、停電下・少人数体制での夜間対応です。照明が限られるなかでのトイレ移動や排泄介助は、転倒などの事故につながりやすくなります。各フロアにライトを備え、動線を事前に確認しておくことで、夜間でも安全に対応しやすくなります。

水洗トイレの使用再開は、設備担当者や管理会社による排水経路の安全確認が取れてから判断します。断水していなくても、配管の損傷で流せない場合があるため、確認前の使用は避けます。地震直後の初動は地震でトイレが使えないときの対処法もご参照ください。

クリニック(診療所)ならではの備え方

大規模病院ほどの人員やスペースがない診療所(クリニック)でも、備えの基本は同じです。ただし、限られた人手と保管スペースという制約があるため、次のポイントを押さえておくと現実的に運用できます。

  • 有床診療所は入院患者分を必ず含める:19床以下であっても、入院患者は24時間院内に滞在します。職員分だけで計算しないようにします。
  • 無床クリニックは「発災時の在院者」で計算する:スタッフに加え、その時間帯の外来患者・付き添いを見込んで算出します。
  • 少人数でも使える製品を選ぶ:担当者が不在でも、その場にいる誰かが迷わず設置できる簡単さが重要です。
  • コンパクトな製品でスペースを抑える:受付裏やバックヤードに収まる箱型なら、限られた保管場所でも備えやすくなります。
  • 近隣・地域との連携も視野に入れる:近隣の医療機関や自治体と、平常時から情報を共有しておくと安心です。

小規模な施設でも、まずは3日分から。スタッフと患者が院内でしのげる最低限を確保することが、はじめの一歩になります。

病院・クリニックでの導入・見直しの進め方

初めて備蓄を検討する場合も、既存の備蓄を見直す場合も、次の5ステップで進めると迷いません。「算出→選定→保管→運用」の順に固めていくのがポイントです。

  1. リスクを洗い出す:断水・停電・下水停止・エレベーター停止が同時に起きた状況を想定します。
  2. 対象人数を確定する:入院患者+外来+職員+付き添いの、発災時に院内にいる最大人数を把握します。
  3. 必要数を算出する:対象人数 × 1日5回 × 日数(最低3日、推奨7日)で計算し、端数は切り上げます。
  4. 保管場所を決める:各病棟・各階に分散し、停電時でも取り出せる動線を確認します。
  5. 運用と訓練を定める:使用手順・役割分担をBCPに明記し、年1回は実際に使う訓練を行います。

一度に完璧を目指す必要はありません。まず必要数を出し、保管場所を決めるところから着手すれば、備えは着実に前へ進みます。

病院BCPに非常用トイレを組み込むポイント

非常用トイレは「備えて終わり」ではなく、BCP(業務継続計画)に具体的に組み込むことで、はじめて実効性をもちます。ライフラインが止まっても排泄環境を維持できることは、診療を止めないための土台だからです。

2017年、災害拠点病院の指定要件にBCP(業務継続計画)の策定が追加され、義務化されました(その後、令和5年に指定要件が一部改正)。災害拠点病院以外の病院・クリニックに法律上の一律義務はありませんが、厚生労働省は「災害拠点病院以外の医療機関におけるBCP作成の手引き」やチェックリストを公表し、策定を推奨しています。なお2018年時点の調査では、災害拠点病院以外の病院のBCP策定率は約2割にとどまっていました。

BCPでライフライン停止に備える際は、非常用トイレについて次の項目を具体的に定めておくと、災害時に迷わず動けます。そのまま自施設のチェックに使えるようリスト化しました。

  • 備蓄数量:患者+職員+付き添いの人数 × 5回 × 日数で算出し、計画に明記する
  • 保管場所:各病棟・各階に分散し、停電時でも取り出せる場所を選ぶ
  • 定期点検:保存期限を台帳で管理し、期限が近いものから入れ替える
  • 訓練:実際に便器へ袋をかけて使う訓練を、防災訓練に組み込む
  • 運用ルール:水洗トイレの使用停止・再開基準、汚物の一時保管、役割分担を明文化する

災害時は、職員自身も被災し、参集できる人数が平常時を下回ります。少ない人手でも回せるよう、使い方の標準化と役割分担を事前に決めておくことが欠かせません。担当者が不在でも対応できるよう、設置手順を掲示しておくと安心です。

また、ごみ収集が止まる期間は、密閉した処理袋を回収再開までためておく一時保管場所が必要になります。病室や診療スペースから離れ、直射日光を避けられる区画をあらかじめ確保しておきましょう。使用済み袋の量は想像以上になりやすいため、保管スペースは余裕をもって見込んでおくことをおすすめします。

保管場所の考え方は非常用トイレのおすすめ保管場所、法人・企業としてのBCPの組み立て方は法人・企業のBCPと非常用トイレで詳しく解説しています。使用済み袋の処分は非常用トイレの正しい捨て方もあわせてご確認ください。

「トイレのミカタ」が病院・クリニックにおすすめな理由

ここまで見てきた「大量・長期・衛生・簡単」という条件を満たす選択肢のひとつが、IPIC SONAEの非常用簡易トイレ「トイレのミカタ」です。事実にもとづき、病院・クリニックの備蓄に向く特長を整理します。

  • 医師・防災士監修:衛生面・実用面の視点を取り入れて設計されています。
  • 約15年の長期保存:大量備蓄の入れ替え頻度を抑え、管理の負担を軽減します。
  • 高吸水の凝固剤:高分子吸水ポリマーを採用し、水がなくても素早く固めて液漏れを防ぎます。
  • 消臭・抗菌に配慮:閉鎖空間での臭気を抑え、院内の環境を保ちやすくします。
  • 処理袋(防臭袋)付き:使用後の汚物を密閉し、衛生的に一時保管できます。
  • 60回分・120回分:施設規模に応じて数量を組み合わせやすく、各階への分散保管にも向きます。
  • 法人対応:まとまった数量のご相談・お見積りに対応する日本メーカー製です。

排泄袋を便器やポータブルトイレにかけ、凝固剤を入れるだけで使えるため、介助が必要な場面でも扱いやすい設計です。施設全体の必要数は、前述のシミュレーション表を目安に検討してみてください。

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よくある質問

Q. 病院・クリニックでは非常用トイレは義務ですか?

全国一律に備蓄を義務づける法律はありません。ただし災害拠点病院はBCP策定が指定要件となっており、その中にライフライン停止時の対応が含まれます。その他の病院・クリニックも、厚生労働省が作成手引きやチェックリストで策定を推奨しており、実務上は備えておくことが望まれます。

Q. 病院では何回分備蓄すればいいですか?

「入院患者+外来+職員+付き添いの合計人数 × 1日5回 × 日数」で計算します。まずは最低3日分(1人15回)、可能であれば7日分(1人35回)が目安です。詳しい考え方は非常用トイレは何回分必要?をご覧ください。

Q. 患者用と職員用は分けるべきですか?

分けても、一括で管理しても構いません。重要なのは、合計人数で不足しないことと、各病棟・各階に分散して配布し、必要な場所ですぐ使える状態にしておくことです。

Q. 凝固剤だけを備蓄してもいいですか?

凝固剤だけでは設置も処理もできません。排泄袋・処理袋とセットで備えるのが基本です。使用後の袋を密閉する処理袋が不足すると、臭気や衛生の問題が起こりやすくなります。

Q. 使用済みはどう保管しますか?

凝固剤で固めた後、処理袋(防臭袋)で密閉して保管します。ごみ収集が止まる可能性があるため、直射日光を避けた一時保管場所を確保しておきましょう。処分は各自治体の規則に従ってください。

Q. 病院でも携帯トイレ(簡易トイレ)は使えますか?

既存の便器やポータブルトイレに袋をかけて使うタイプであれば、有効に使えます。移動が難しい患者には、ポータブルトイレと組み合わせて備えると、より安全に対応できます。

Q. 人工透析の患者への配慮はどう考えればいいですか?

透析は水インフラに強く依存するため、断水時は治療の継続そのものが課題になります。トイレについては、水を使わずに処理できる非常用トイレを用意しておくことが基本です。個別の医療対応は、院内の災害マニュアルや主治医の判断に沿って進めてください。

Q. BCPには記載した方がいいですか?

記載をおすすめします。備蓄数・保管場所・使用手順・訓練までをBCPに明記しておくと、災害時の初動が大きくスムーズになります。企業BCP全体の考え方は法人・企業のBCPと非常用トイレもあわせてご覧ください。

まとめ・今日からできる備え

病院・クリニックでは、災害でトイレが使えなくなっても、患者の排泄を止めることはできません。断水・停電・下水停止を前提に、「患者+職員+付き添い × 1日5回 × 日数」で備蓄量を算出し、保管・運用・訓練までを一体で準備しておくことが、診療の継続とBCPの両面で重要になります。

大がかりな準備は必要ありません。次のうち、まずは一つから着手してみましょう。

  • 現在の備蓄量と期限を確認する:院内に何回分あるか、いつ切れるかを台帳で把握する
  • 合計人数を把握する:入院患者・外来・職員・付き添いの最大人数を洗い出す
  • 必要回数を計算する:合計人数 × 5回 × 3〜7日で試算する
  • 各階に分散保管する:停電時でも取り出せる場所へ、病棟ごとに分けて置く
  • 使い方を職員で共有する:次回の防災訓練で、実際に袋をかけて使ってみる
  • BCPに書き込む:備蓄数・保管場所・運用ルールを計画に明記する

防災は、災害が起きてから始めるものではありません。今日、自施設の備蓄量を一つ確認してみること。その小さな一歩が、患者と職員の安心につながります。IPIC SONAEは、防災を、「じぶんゴト」に。という思いで、そんな日々の備えを応援しています。

病院・クリニックの備えを、今日から一歩

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参考情報

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