帰宅困難者対策に必要な非常用トイレ|企業が備えるべき数量と運用

帰宅困難者対策として企業が備える非常用トイレの必要数量と運用を解説するイメージ

大きな地震で鉄道が止まると、従業員はすぐには帰宅できません。むやみに移動すると混雑や事故を招くため、国や自治体は「一斉帰宅の抑制」と「事業所内での待機」を呼びかけています。つまり、多くの人が数時間から数日にわたって、社内にとどまることになります。

このとき見落とされやすいのがトイレです。飲料水や食料は備えていても、トイレの数量と運用まで決めている企業は多くありません。断水や排水設備の被害でトイレが使えなくなれば、待機そのものが続けられなくなります。

この記事では、帰宅困難者対策としての非常用トイレについて、制度の考え方 → 対象人数 → 必要数量 → 発災0〜72時間の運用までを、公的機関の情報とIPIC SONAEの実務的な提案を分けて整理します。担当者が「自社では何を、いくつ備え、誰がどう動かすか」を判断できる形にまとめました。

この記事の結論

  • 「備蓄済み」だけでは足りない。必要数量の算定発災後の運用設計の両輪で考える
  • 対象人数は正社員数ではない。派遣・パート・常駐協力会社・発災時の来訪者まで検討し、二重計上はしない
  • 「3日分」は全国一律の法的義務ではない。東京都は都内事業者に3日分の備蓄を努力義務として求めている
  • 断水していなくても、排水管・下水道の安全が確認できるまで水洗トイレを流さない判断が必要
  • 使用済み袋の一時保管場所・搬送動線・臭気対策まで含めて設計する
  • 72時間経過=一斉帰宅ではない。交通・地域安全の情報を確認し、段階的に判断する

なぜ帰宅困難者対策に非常用トイレが必要なのか

結論から言えば、大規模災害では従業員が長時間社内にとどまる一方で、トイレが同時に使えなくなる可能性が高いためです。まず、この前提を公的機関の情報で確認します。

公的機関の考え方

内閣府(防災担当)の「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」は、発災直後に多くの人が一斉に帰宅すると救助活動や道路が混乱するため、企業に対し従業員を施設内にとどめる「一斉帰宅の抑制」と、そのための備蓄(3日分の必要な物資が目安)を求めています。東京都も、都民に「むやみに移動しない」よう呼びかけています。

問題は、待機が長引くほどトイレの需要が積み上がることです。首都直下地震の被害想定では、深刻なインフラ被害が示されています。

公的機関の考え方

内閣府が2025年12月に公表した新たな首都直下地震の被害想定では、都心南部直下地震の被災直後に、上水道は約3割、下水道は約5%の地域で利用支障が生じ、最大約5割の建物で停電するおそれがあるとされています。断水していない場所でも、建物の排水設備や下水道側が被害を受けていれば、水洗トイレを安全に使えるとは限りません。

こうした状況では、家庭やオフィスの平常時とは異なる論点が出てきます。帰宅困難者対策で特に押さえたい理由を、4つに整理しました。

1

多人数が同時に、長時間とどまる

数時間で解消せず、数日に及ぶこともあります。人数と日数が増えるほど、トイレの必要回数は積み上がります。

2

水・食料より備えが遅れやすい

飲料水や食料は意識されても、トイレは後回しになりがちです。しかし我慢は水分・食事の制限につながり、健康面の負担になります。

3

断水だけでなく排水設備の確認が必要

「水が出る=流してよい」ではありません。排水管や下水道の安全が確認できるまで、流すと逆流のおそれがあります。

4

備蓄量だけでは運用できない

箱を置いてあるだけでは機能しません。配る・使い方を伝える・回収する・保管する担当と手順まで必要です。

断水や地震直後の初動そのものの基礎は既存記事で詳しく扱っています。ここでは帰宅困難者対策に絞り、全体像は非常用トイレ完全ガイドに譲ります。

「3日分」は企業の義務?まず制度とガイドラインを整理

先に結論です。「従業員3日分の備蓄」は、全国すべての企業に課された一律の法的義務ではありません。国の目安、東京都の条例、外部の帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の基準は、それぞれ対象も位置づけも異なります。混同すると、過不足のある備蓄設計につながります。

区分 示している主体 主な対象 位置づけ
国のガイドライン 内閣府(防災担当) 大都市部の企業等 一斉帰宅抑制と、従業員等が事業所内で待機できるよう3日分の必要な物資を備蓄する考え方を提示
東京都の条例 東京都 都内の事業者 従業員3日分の備蓄は努力義務(罰則規定はなく、対象は都内)
一時滞在施設の基準 国・都等 外部の帰宅困難者を受け入れる施設 受入は原則3日間。飲料水・食料・毛布・トイレ等を備蓄(協定に基づく別枠)
その他の自治体 各地の自治体 各地域の事業者 地域により推奨や制度が異なる(要確認)

一時滞在施設の基準を、自社従業員の備蓄へそのまま当てはめない
一時滞在施設は、外を歩いていて帰れなくなった人(外部の帰宅困難者)を受け入れる施設です。自社の従業員を社内で待機させる備えとは、対象も運用も別です。まずは「自社の従業員等の待機」を軸に設計します。

IPIC SONAEの実務提案

所在地の自治体に独自の制度・推奨があるかを、平常時に確認しておくと安心です。そのうえで、まずは3日分から備え、保管スペースや運用に無理がなければ段階的に広げる進め方が、続けやすい水準です。

帰宅困難者対策の非常用トイレは何回分必要?

必要数は、次の式で考えます。まず必要回数を客観的に出し、そのあとで商品のセット数に換算するのが基本です。

対象人数 × 5回/日 × 待機日数 = 必要回数

経済産業省は、成人のトイレ回数を1日あたり約5回とし、1人あたり35回分(=1週間分)の備蓄を目安として示しています。内閣府も、最低3日分、できれば1週間分程度の備蓄を呼びかけています。

「対象人数=正社員数」で計算しない

帰宅困難者対策でつまずきやすいのが、対象人数の数え方です。発災時に社内へとどまる可能性がある人を、幅広く想定します。

雇用形態
正社員契約社員パート・アルバイト派遣社員
常駐・関係者
常駐の協力会社清掃・警備・設備配送・取引先
勤務時間帯
日勤夜勤・交代勤務者
来訪者
発災時の来客打合せ中の取引先施設利用者

曜日・時間帯で「最大在館人数」は変わります
平日日中と夜間、繁忙日と閑散日では、社内にいる人数が大きく異なります。想定は「その時間帯に館内へとどまる可能性がある最大人数」で考え、同じ人を二重に数えないよう注意します。1人1日あたりの回数や日数は、上記の公的機関の目安を前提としています。

人数・日数別のより詳しい考え方は非常用トイレは何回分必要?、法人全体の備蓄設計は法人の非常用トイレ備蓄で扱っています。この記事では、帰宅困難者対策に固有の「対象人数の広さ」と「発災後の運用」に絞って進めます。

【人数別早見表】30人・50人・100人・300人・500人なら何回分?

「対象人数 × 5回/日 × 日数」で試算した目安です。まず必要回数を出し、続けて製品のセット数に換算します。端数は不足しないよう切り上げます。

対象人数 3日分の必要回数 7日分の必要回数 120回セット換算(3日分)
30人 450回分 1,050回分 4箱
50人 750回分 1,750回分 7箱
100人 1,500回分 3,500回分 13箱
300人 4,500回分 10,500回分 38箱
500人 7,500回分 17,500回分 63箱
1,000人 15,000回分 35,000回分 125箱
IPIC SONAEの実務提案

換算列は、非常用簡易トイレ「トイレのミカタ」の120回分セットを基準に、3日分の必要回数を割って箱数を出したものです(端数切り上げ)。60回分セットで揃える場合は、箱数はおよそ倍になります。表の「対象人数」は正社員数ではなく、前章で整理した在館者の合計で見てください。

【ケーススタディ】100人オフィスの備蓄量と配置

平日日中に大規模地震が発生し、鉄道が停止した「従業員規模100人のオフィス」を想定します。数量を出して終わりにせず、配置と運用まで具体化します。

1. 在館者を整理し、待機対象人数を決める

区分 人数(例) 備考
正社員 70人 日勤の在席者
契約・派遣社員 15人 常時在席
常駐協力会社 8人 清掃・警備・設備
発災時の来訪者 7人 打合せ・来客
待機対象人数 100人 二重計上しない合計

2. 必要回数を算定し、セット数へ換算する

  • 3日分:100人 × 5回/日 × 3日 = 1,500回分 → 120回セットで約13箱
  • 7日分:100人 × 5回/日 × 7日 = 3,500回分 → 120回セットで約30箱

まず3日分(約13箱)を基準に確保し、保管スペースに応じて7日分へ広げる進め方が現実的です。

3. 「初期配置」と「補充在庫」を分ける

全在庫を個室に置く必要はありません。すぐ使う分を配置し、残りは倉庫で管理します。

初期配置(各トイレ・各フロア)

発災直後にすぐ使える最小限。個室・各フロアの手元に、数回分〜半日分をあらかじめ置きます。

補充在庫(防災倉庫)

残りをまとめて保管。残数を見ながら各所へ補充します。棚卸しと期限管理は倉庫側で一元化します。

IPIC SONAEの実務提案

停電でエレベーターが止まると、上下階の移動が難しくなります。倉庫にベース在庫を置きつつ、各フロアにも初期配置を分散する「ハイブリッド」が、初動と管理のバランスを取りやすい構成です。配置の基本は保管場所の記事もご参照ください。

4. 使用済み袋の一時保管と、担当者まで決める

100人が使えば、使用済みの袋は短時間でまとまった量になります。回収ルート・一時保管場所・担当者を、数量とあわせて決めておきます。周辺備蓄(トイレットペーパー、手袋、消毒、目隠し等)も忘れず、次章以降で具体化します。

発災直後、水洗トイレは使ってよい?

先に結論です。見た目が無事でも、排水管・下水道・建物設備の安全が確認できるまでは、水洗トイレを流さない判断が安全です。断水していなくても、下水道側が被害を受けていれば、流した水や汚物が逆流・あふれ出すおそれがあります。

1人命の安全確保(負傷者対応・避難誘導を最優先)
2建物・給排水設備の安全確認(設備担当・管理会社と連携)
3安全が確認できるまで水洗トイレを使用停止し、掲示・放送で周知
4非常用トイレへ切り替え、使い方を簡潔に案内
5復旧後、安全確認のうえで使用再開を判断(判断者を事前に決めておく)

「断水していない=必ず流せる」ではありません
内閣府が2025年12月に公表した新たな首都直下地震の被害想定では、被災直後に下水道は約5%の地域で利用支障が生じるおそれがあるとされています。使用停止・再開を誰が判断するか(設備担当・施設管理・管理会社)を平常時に決めておきましょう。地震直後の初動は地震でトイレが使えないときの対処法、便器を使った設置手順は非常用トイレの使い方で解説しています。社内手順書への落とし込みは企業の非常用トイレ運用マニュアルが参考になります。

【0〜72時間】事業所内待機のトイレ運用フロー

この記事の中心です。数量を「使える状態」に接続するため、発災からの時間経過にそって運用を整理します。時間はあくまで整理の目安であり、実際は被害状況・安全情報・公的機関の指示に従って判断します。

0〜約1時間発災直後:安全確保と使用可否の判断
  • 人命の安全確保・負傷者対応
  • 建物・給排水設備の確認、水洗トイレの使用可否を判断
  • 必要なら使用停止を掲示・放送で周知
  • 担当者を招集し、役割を確認
〜数時間初動:非常用トイレの設置と周知
  • 非常用トイレを設置し、使い方を簡潔に案内(掲示・多言語・ピクトグラム)
  • 各フロア・各トイレへ初期配布
  • トイレットペーパー・手袋・消毒・目隠し等の衛生用品を準備
〜24時間待機中:補充・回収・記録
  • 残数を確認し、補充在庫から補う
  • 使用済み袋を回収し、一時保管場所へ集約
  • 臭気・衛生対策、利用者への配慮
  • 配布数・残数・回収状況を記録
24〜72時間長時間化:再計算と体制の維持
  • 待機人数と残数を再計算し、不足を早めに把握
  • 担当者を交代し、負担を分散
  • 使用済み袋の保管状況を確認(容量の余裕を確保)
  • 必要に応じてBCP上の判断へ接続
復旧・帰宅判断安全情報を確認して通常運用・段階的帰宅へ
  • 排水・下水道・建物設備の安全を確認
  • 地域の安全情報・交通情報を確認
  • 水洗トイレの通常復帰、段階的な帰宅を判断

「72時間経過したから全員帰宅」と、時間だけで機械的に決めないことが大切です。交通や地域の安全が整わないうちの移動は、かえって危険を伴います。公的機関の情報を確認しながら判断します。

使用済み袋をどう保管する?臭い・衛生・動線の考え方

待機が長引くほど、使用済みの袋は増えます。この一時保管の設計が、社内の衛生環境を左右します。処分方法は自治体ルールに従い、勝手に断定しないことが前提です。

1使用(凝固剤で固め、においを抑える)
2密閉(口を縛り、処理袋にまとめる)
3回収(担当・時間・ルートを決めて各所から回収)
4一時保管(執務・飲食エリアと分け、直射日光を避け、立入を管理)
5処分(自治体の災害時ルールに従う)

「必ず可燃ごみ」と全国一律には断定できません
使用済み袋の分別・回収ルールは自治体によって異なり、災害時はごみ回収が停止することもあります。所在地の災害時ごみ処理ルールを平常時に確認し、回収再開までの保管容量に余裕を持たせておきましょう。処分の基本は非常用トイレの処分方法、臭い対策は非常用トイレの臭い対策で解説しています。

非常用トイレだけでは足りない|周辺備蓄と利用者配慮

非常用トイレ本体だけでは、運用は回りません。周辺の衛生用品と、多様な利用者への配慮をセットで考えます。

あわせて備えたい周辺用品

衛生用品

トイレットペーパー、手指消毒、使い捨て手袋、ウェットティッシュ。

回収・保管

処理袋、ごみ袋、密閉容器。一時保管場所の確保も含めて。

環境

停電に備えた照明、目隠し・仕切り、消臭剤。夜間の利用も想定。

利用者への配慮

女性

  • プライバシー・目隠しの確保
  • 生理用品の備え
  • 防臭・夜間照明への配慮

詳しくは女性の非常用トイレ対策をご覧ください。

高齢者・障害のある方

  • 移動距離・段差への配慮
  • 手すり・照明・必要時の介助
  • 近い場所で使える運用

詳しくは高齢者の非常用トイレの選び方をご覧ください。

外国人の来訪者

  • ピクトグラム中心の案内
  • 「水を流さない」表示
  • 使い方・袋の扱いを簡潔に

体調・健康面

  • 我慢は水分・食事の制限につながりやすい
  • 断定は避け、負担になり得る前提で配慮
  • 必要に応じ専門機関の情報を案内

誰が何をする?帰宅困難者対策の担当者役割表

「備蓄する」だけでは動きません。使用停止の判断から通常復帰まで、役割を割り当てておきます。担当者が不在の時間帯に備え、副担当も決めておきます。

担当 主な役割
BCP責任者 全体判断、待機・帰宅開始の意思決定、情報の集約
施設・設備管理 建物・給排水の確認、水洗トイレの使用停止・再開の判断
備蓄担当 初期配置・補充、残数管理、期限・棚卸しの管理
各フロア担当 設置・配布、使い方の周知、使用済み袋の回収
総務・情報担当 交通・地域安全情報の収集、掲示・多言語案内、記録

平時に決めておきたい備蓄・運用チェックリスト

数量・保管

  • 対象人数(在館者の合計・時間帯の最大)を決める
  • 必要回数と箱数を算出する
  • 初期配置と補充在庫の分け方を決める
  • 保管場所(倉庫+各フロア)を決める
  • 保存期限と棚卸し時期を管理する

運用・配布

  • 使用停止・再開の判断者を決める
  • 配布・使い方周知の担当を、日中・夜間それぞれで決める
  • 掲示・多言語・ピクトグラムの案内を用意する
  • 周辺用品(紙・手袋・消毒・目隠し・照明)を揃える

使用後・体制

  • 使用済み袋の回収ルート・一時保管場所を決める
  • 自治体の災害時ごみ処理ルールを確認する
  • 担当者の交代・副担当を決める
  • 防災訓練に非常用トイレの運用を組み込む

防災訓練で非常用トイレ運用を確認する

手順は、実際にやってみて初めて機能します。訓練では、開封・設置・使い方の説明・補充・回収動線・担当者交代までを一度通しで確認します。特に、便器への袋のかけ方と凝固剤の使い方、使用済み袋の密閉は、体験しておくと本番の迷いが減ります。訓練の組み立ては企業の防災訓練と非常用トイレで解説しています。

帰宅開始・通常運用への復帰は安全情報を確認して判断

くり返しになりますが、3日(72時間)経過=一斉帰宅ではありません。国は、一斉帰宅を抑制したあとの「帰宅場面での再度の混乱」を防ぐ観点も重視しています。帰宅開始は、交通・道路・地域の安全情報を確認し、段階的に判断します。

トイレの通常運用への復帰も同様です。断水の解消だけでなく、排水管・下水道・建物設備の安全が確認できてから、水洗トイレの使用を再開します。判断の順序を、社内であらかじめ共有しておきましょう。

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よくある質問

企業は非常用トイレを3日分備蓄する義務がありますか?
全国一律の法的義務ではありません。東京都は帰宅困難者対策条例で、都内の事業者に従業員3日分の備蓄を努力義務として求めています(罰則規定はありません)。国の最新ガイドラインは、従業員等が事業所内で待機できるよう、3日分の必要な水・食料・毛布等の物資を備蓄する考え方を示しています。まずは所在地の自治体の制度を確認してください。
1人あたり何回分を見込めばよいですか?
経済産業省の目安では、成人のトイレ回数は1日約5回です。3日分なら1人15回分、7日分なら1人35回分が計算上の目安になります。
来客や派遣・パートの分も必要ですか?
含めて検討します。正社員だけでなく、契約・派遣・パート、常駐の協力会社、夜勤者、発災時の来訪者まで想定します。ただし曜日・時間帯で最大在館人数が変わるため、その時間帯にとどまる可能性がある人数で見積もり、同じ人を二重に数えないようにします。
100人の事業所なら何回分必要ですか?
1日5回で計算すると、3日分で1,500回分、7日分で3,500回分が目安です。120回分セットに換算すると、3日分で約13箱になります(端数切り上げ)。
断水していなければ水洗トイレを使えますか?
断水していなくても、排水管や下水道が損傷していれば、流すと逆流のおそれがあります。内閣府が2025年12月に公表した新たな首都直下地震の被害想定では、被災直後に下水道は約5%の地域で利用支障が生じるおそれがあるとされています。建物・設備の安全が確認できるまでは水洗を控え、非常用トイレへ切り替える判断が安全です。
使用済みの袋はどう保管すればよいですか?
凝固剤で固めて口を縛り、処理袋にまとめます。執務・飲食エリアと分けた、直射日光を避けられる場所に一時保管し、立入を管理します。災害時はごみ回収が停止することがあるため、保管容量に余裕を持たせ、処分は自治体のルールに従います。
従業員をすぐ帰宅させてはいけないのですか?
発災直後に多くの人が一斉に帰宅すると、混雑や事故、救助活動への支障につながるおそれがあります。国や自治体は「むやみに移動しない」ことと一斉帰宅の抑制を呼びかけています。帰宅開始は、交通や地域の安全情報を確認し、段階的に判断します。72時間で自動的に全員帰宅、という運用ではありません。
一時滞在施設と一般企業の備えは何が違いますか?
一時滞在施設は、外を歩いていて帰れなくなった外部の帰宅困難者を受け入れる施設で、受入は原則3日間とされ、飲料水・食料・毛布・トイレ等の備蓄や衛生管理が求められます。一般企業の「自社従業員の事業所内待機」とは、対象も基準も別です。まずは自社従業員等の待機を軸に設計します。

まとめ

帰宅困難者対策のトイレは、「必要数量を根拠を持って算定すること」と「発災後に実際へ動かせるよう運用を設計すること」の両輪で成り立ちます。対象人数は正社員数ではなく、在館者全体で数え、必要回数を出してからセット数へ換算します。

そのうえで、水洗トイレの使用可否の判断、初期配置と補充、使用済み袋の回収と一時保管、担当者と復帰判断まで決めて、はじめて災害時に機能します。まずは自社の対象人数を数え、現在の備蓄状況を見直すことから始めてみませんか。必要数量の試算やお見積りは、法人向けの相談窓口でお受けしています。

防災を、「じぶんゴト」に。IPIC SONAEは、企業の安全と事業継続を支える備えを、これからも応援しています。

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