データセンターの非常用トイレ対策|24時間稼働を支える防災備蓄

データセンターの24時間稼働を支える非常用トイレ対策と防災備蓄のイメージ

データセンターのBCPというと、非常用発電機、UPS、通信の冗長化、消火設備といった「止めないための設備」がまず思い浮かびます。しかし24時間365日稼働する施設を実際に動かしているのは、監視・保守・警備・清掃にあたる人です。

災害で断水や排水設備の障害が起きると、館内のトイレが同時に使えなくなることがあります。交通機関が止まれば、勤務を終えた人も帰れず、復旧要員がさらに参集し、施設内に長時間とどまる人が増えます。設備が動いていても、人が働き続けられる衛生環境が保てなければ、24時間運用は続けられません。

この記事では、公的機関の情報とIPIC SONAEの実務的な考え方を分けて整理し、データセンターのご担当者が「対象人数の整理 → 必要回数の計算 → 配置 → 夜間運用 → 使用済み袋の管理」まで判断できる形にまとめました。

この記事の結論

  • 対象は「従業員数」ではなく、災害時に施設内へ滞在しうる最大人数。夜勤・警備・清掃・常駐協力会社・応援要員まで含める
  • 非常用発電機やUPSが動いていても、給排水設備の安全が確認できるまで水洗トイレは使えないことがある
  • 必要数は「対象人数 × 1日あたりの回数 × 想定日数」で試算し、災害時の残留・増員を踏まえて調整する
  • 保管は防災倉庫の一極集中に頼らず、運用監視エリアや各棟・各階への初期配置を併用する
  • 夜勤・少人数体制でも回る手順と、使用済み袋の回収・一時保管の動線を平常時に決めておく

データセンターで非常用トイレ対策が必要な理由

データセンターのトイレ対策は、一般的な法人備蓄の考え方だけでは設計しきれません。オフィスや店舗と違い、深夜も含めて常に人が在館し、災害時にはその人数がむしろ増える可能性があるためです。DC特有の事情を4つに整理します。

1

24時間365日、常に人が在館している

運用監視や設備保守は交代勤務で回ります。夜間・休日・早朝でも施設内に人がいるため、「就業時間中だけ」の備えでは足りません。

2

障害対応で滞在が長時間化する

大規模障害や災害が重なると、担当者は復旧が落ち着くまで施設を離れられません。想定より長く在館する前提が必要です。

3

交通停止で帰宅・交代ができない

公共交通が止まれば、勤務を終えた人も帰宅できず、交代要員も到着できません。結果として在館者が積み上がります。

4

高セキュリティ環境で移動が制限される

棟・階・区画ごとに入退室が管理され、停電時はエレベーターも止まります。「別の場所へ取りに行く」運用は成立しにくくなります。

IPIC SONAEの考え方

データセンターのトイレ対策は、「IT設備を止めないBCP」と対になる「人が働き続けるためのBCP」です。設備の冗長化と同じ精度で、人の生活インフラも設計しておくことが、24時間運用の継続性を支えます。地震や断水そのものの基礎は非常用トイレ完全ガイドで扱っています。本記事はDC固有の論点に絞ります。

「設備の継続性」と「人の継続性」は別々に設計する

電源や通信を守る仕組みがあっても、それだけでは施設は回りません。設備側の冗長化と、人が滞在し続けるための衛生環境を、それぞれ独立した課題として並べて考えると抜けが減ります。

設備の継続性(従来のBCP)

  • 非常用発電機・UPSによる電源確保
  • 通信・ネットワークの冗長化
  • 空調・消火・監視の維持
  • 設備保守・ベンダー対応

人の継続性(見落とされやすい)

  • 在館者のトイレ・衛生環境
  • 飲料水・食料・休憩の確保
  • 夜勤・少人数時の運用手順
  • 使用済み袋の回収・保管

非常用発電機やUPSが動いていれば水洗トイレも使える?

「電源が生きていれば水洗トイレも使える」とは限りません。トイレを流せるかどうかは、電源だけでなく、給水・排水の系統全体が正常であることが前提になります。

給水・給水ポンプ

受水槽やポンプが被災すれば、電源があっても水が届きません。断水時は貯留水にも限りがあります。

排水管・下水道

建物内の排水管や地域の下水道が損傷していると、流した水や汚物が逆流・あふれ出すおそれがあります。

建物・配管の安全確認

地震直後は、設備担当や管理会社が安全を確認するまで、水洗トイレの使用を止める判断が必要になります。

施設ごとに設備構成が違う

給排水の系統や非常用設備の範囲は施設ごとに異なります。自施設の設備図と運用ルールで確認が必要です。

「電源がある=水洗トイレを流してよい」ではありません
非常用発電機やUPSが担うのは主にIT・重要設備の電源です。給排水設備の安全が確認できるまでは、水洗トイレの使用を控え、非常用トイレへ切り替える判断が必要になる場面があります。地震直後の初動は地震でトイレが使えないときの対処法もご参照ください。

誰の分を備蓄する?24時間施設の対象人数

データセンターの備蓄でつまずきやすいのが「誰の分を数えるか」です。自社の従業員だけを数えると、必要数を大きく見誤ります。災害時に館内へ滞在しうる人を、幅広く想定しましょう。

運用・監視
日勤監視夜勤監視交代勤務運用責任者
設備・ファシリティ
電気・空調保守設備管理ベンダー保守員
常駐委託
警備清掃受付協力会社
災害時に増える人
復旧・応援要員参集要員帰宅できない勤務終了者来訪者
IPIC SONAEの考え方

全員を単純合算する必要はありません。現実的なのは「その時間帯に施設内へ滞在する可能性がある最大人数」をシナリオ別に見積もることです。特に、平常時に想定する在館人数と、災害対応時に想定する在館人数は分けて考えます。コロケーション/ハウジング施設では、テナント側の作業員が在館するケースも踏まえます。

「平常時の最大在館」と「災害対応時の想定在館」を分ける

次の2つのシナリオを分けて数えると、必要量の見誤りを防げます。

  • 平常時最大在館人数:通常運用で最も人数が多い時間帯(多くは平日日中)の在館者
  • 災害対応時想定在館人数:交代不着による残留、復旧・応援要員の参集、帰宅困難で残る人を加味した人数

平日日中・平日夜間・休日・大規模障害対応・地震+交通停止といった状況ごとに人数が変わります。帰宅困難者の考え方は帰宅困難者と非常用トイレ、法人全体の備蓄設計は法人の非常用トイレ備蓄で解説しています。

必要数量の計算方法

必要数は「対象人数 × 1人1日あたりの回数 × 想定日数」で計算します。1日あたりの回数には、公的機関が示す目安を用います。

対象人数 × 5回/日 × 想定日数 = 基礎必要回数

経済産業省は、成人のトイレ回数を1日約5回とし、1人あたり35回分(=1週間分)の備蓄を目安として示しています。

公的機関の考え方

内閣府は、災害への備えとして最低3日分、できれば1週間分程度の食料・飲料水・携帯トイレ・簡易トイレ等の備蓄を呼びかけています。また、経済産業省は成人のトイレ回数を1日約5回とし、1人あたり35回分(7日分)を備蓄の目安として示しています。東京都では一斉帰宅抑制の考え方に基づき、事業者による従業者向け3日分の備蓄が推進されています。公的資料ごとに対象や制度上の位置づけは異なり、これらはいずれもデータセンター専用の数量基準ではありません。全国一律の法的義務と誤解せず、所在地の自治体制度や自社BCPも踏まえて必要量を設定してください。

「日勤+夜勤」を単純合算しないでください
日勤と夜勤は入れ替わるため、両方をそのまま足すと過大になります。必要なのは「同時に施設内へ滞在する人数」を想定日数分だけ備えることです。ただし災害時は交代が成立せず両方が残るケースもあるため、シナリオで確認します。

人数別・必要回数の早見表

下表は1日5回で試算した目安です。自施設の対象人数と想定日数に置き換えてご確認ください。

対象人数(同時在館) 3日分の目安 7日分の目安
20人 300回分 700回分
30人 450回分 1,050回分
50人 750回分 1,750回分
80人 1,200回分 2,800回分
100人 1,500回分 3,500回分

必要回数を製品のセット回数(例:60回・120回)で割り、端数は切り上げて箱数へ換算します。回数の考え方は非常用トイレは何回分必要?、BCP全体での位置づけは企業のBCPと非常用トイレで詳しく解説しています。

【ケーススタディ】24時間データセンターなら何回分必要?

ここでは架空の24時間稼働データセンターを想定して試算します。以下の人数はすべて説明用の仮定であり、実際の必要量は施設ごとに異なります。

シナリオ 内訳(仮定) 同時在館 3日分 7日分
通常・日中 運用監視20/設備管理10/警備・清掃等10/協力会社・来訪10 50人 750回分 1,750回分
通常・夜間 運用監視10/設備管理5/警備等5 20人 300回分 700回分
災害対応時 日勤者残留+夜勤交代不着+復旧・応援要員追加 60人 900回分 2,100回分

この仮定では、通常夜間の20人だけを基準に備えると、災害対応時の60人規模には大きく不足します。「平常時の最大人数(この例では日中50人)」に加え、災害時の残留・増員を織り込んだ「災害対応時の想定在館人数」を基準に検討する方が、平常時人数だけで算定するより不足リスクを抑えやすくなります。

IPIC SONAEの考え方

根拠のない一律上乗せ率をかけるのではなく、人数シナリオと想定日数そのものを見直すことをおすすめします。「なぜその人数か」を説明できる設計にしておくと、稟議やBCP見直しでも通しやすくなります。数量を決めたら、次は「どこに置くか」「夜間に誰が動かすか」へ進みます。

データセンター特有の備蓄配置

データセンターでは「どこに置くか」が、災害時に本当に使えるかを分けます。防災倉庫に集中させるだけでは、停電でエレベーターが止まったときや、セキュリティ区画をまたぐ移動が必要なときに取りに行けません。「中央在庫」と「初期配置」を組み合わせます。

中央防災倉庫(ベース在庫) まとまった数量を保管・棚卸し・補充の起点にする

運用監視エリア常時人がいる。初動で即使える最小限を配置
事務・休憩エリア滞在の中心。設置スペースも確保
各棟・各階区画移動・階移動の制約に備え分散
夜勤動線上少人数でも手が届く位置に配置

7つの観点で「中央集中」と「初期分散」を比べると、それぞれの向き・不向きが明確になります。

観点 中央集中(防災倉庫) 初期分散(各エリア)
在庫管理・棚卸し ◎ まとめて管理できる △ 箇所ごとに把握が必要
初動の速さ △ 倉庫まで移動が必要 ◎ その場ですぐ使える
停電・EV停止時 × 階移動が困難 ◎ 各階で対応できる
セキュリティ区画移動 △ 入退室の制約を受ける ◎ 区画内で完結できる
夜間・少人数時 △ 取りに行く人手が要る ◎ 手元で対応できる
補充のしやすさ ◎ 倉庫から一元補充 △ 各所へ補充が必要
紛失・持出管理 ◎ 把握しやすい △ 管理ルールが必要

重要設備エリアへの持ち込みは施設のセキュリティ規程を優先
サーバルームや電源設備エリアなど、飲食・私物の持ち込みが制限される区画があります。非常用トイレや使用済み袋を重要設備エリアへ不用意に持ち込まないよう、配置は必ず施設のセキュリティ・運用規程に従って決めてください。

IPIC SONAEの考え方

最適な配置は施設条件によって異なり、「必ず各階へ置く」と断定はできません。実務上は、中央防災倉庫にベース在庫を置きつつ、運用監視エリアや各棟・各階へ初期配置を併用する「中央+初期配置」のハイブリッドが扱いやすい構成です。保管場所の基本は保管場所の記事もご参照ください。

夜勤・少人数体制でも回る運用

データセンターの発災は、必ずしも人手のある日中に起きるとは限りません。夜勤の少人数でも迷わず動けるよう、手順をできるだけ簡素に標準化しておきます。

1判断:給排水の安全が確認できるまで水洗トイレを停止(判断者・代行者を事前に決めておく)
2取り出し:初期配置分をその場で取り出す(夜間でも手が届く位置に置く)
3設置:便器に排泄袋をかけ凝固剤を入れる。初見でも分かる手順書を同梱
4周知:使用可能なトイレと使い方を在館者へ掲示・連絡
5回収・記録:使用済み袋を回収し、消費数を記録して残数を把握
6補充:中央倉庫から初期配置分を補充する

手順書を製品と同じ場所に置き、初見の担当者でも設置できる状態にしておくと、夜間や交代直後でも運用が止まりません。基本的な使い方は非常用トイレの使い方、運用手順の文書化は非常用トイレの運用マニュアルで解説しています。

使用済み袋の回収・一時保管

多人数・長期間の運用では、使用済み袋の量がまとまります。回収から一時保管、処分までの動線を平常時に決めておくと、衛生面のトラブルを防げます。

1密閉:使用後は排泄袋の口を縛り、処理袋でまとめて密閉する
2回収:各エリアから決めたルートで回収する
3運搬:飲食・執務・休憩エリアを避けた動線で運ぶ
4一時保管:重要設備から離れた指定場所へ集約する
5処分:自治体のルールに従って処分する

一時保管場所は重要設備・執務・飲食エリアから分離する
臭気・衛生・動線を考え、保管容量にも余裕を持たせます。処分方法は自治体によって異なるため、全国一律に「可燃ごみ」と断定せず、必ず所在地の自治体ルールを確認してください。臭い対策は臭い対策の記事、処分の基本は使用後の処分方法で解説しています。

長期化した場合の在庫管理

復旧が長引くほど、残数の把握が重要になります。「残数」「1日あたりの消費量」「残り何日分か」を毎日更新できるようにしておきます。応援・復旧要員が増えれば消費も増えるため、在館人数が変わったタイミングで必要量を再計算します。

  • 使用のたびに消費数を記録し、残数を可視化する
  • 1日あたりの消費量から「あと何日分あるか」を試算する
  • 在館人数が増えたら必要量を再計算し、早めに追加調達を判断する

棚卸しや消費記録の運用は非常用トイレの在庫管理で詳しく扱っています。

複数棟・複数データセンターではどう考える?

複数棟・複数拠点を運用する場合も、基本は「各棟・各施設が初動を自立して回せること」です。ある拠点から別拠点へ融通する前提だけに頼ると、交通停止時に成立しません。まずは拠点ごとに最低限の初動在庫を確保し、全社在庫はそのうえで最適化します。拠点間の考え方は複数拠点の非常用トイレ備蓄をご参照ください。

IPIC SONAEの考え方

複数施設を運用する場合、備蓄する非常用トイレの仕様を全施設で統一しておくと、調達・在庫管理・訓練・夜勤者への教育を標準化しやすくなります。拠点ごとに製品がばらつくと、手順書や教育も拠点数だけ増えてしまいます。

防災訓練で確認しておくこと

備蓄は「置いてある」だけでは機能しません。特にデータセンターでは、夜間・少人数・区画移動といった制約下での動作確認が重要です。訓練で次の点を確認します。

  • 夜勤・少人数の時間帯を想定して実施できるか
  • 初期配置の場所に、夜間でも手が届くか(鍵・入退室権限を含む)
  • 初見の担当者でも手順書を見て設置できるか
  • 使用済み袋の回収・一時保管の動線が機能するか
  • 消費数の記録・残数把握のルールが回るか

訓練の組み立て方は企業の防災訓練と非常用トイレで解説しています。

データセンターで起こりやすい失敗

発電機があるからトイレも大丈夫と考える

電源と給排水は別。安全確認前は水洗が使えないことを前提にする。

日勤人数だけで備える

夜勤・残留・応援要員を数えず、災害対応時に不足する。

警備・清掃・協力会社を除外する

常駐する委託スタッフも在館者。対象人数に含める。

一か所に集中備蓄する

停電・EV停止・区画移動で取りに行けなくなる。

夜間に配置場所の鍵が開かない

入退室権限を持つ人が不在で取り出せない。

使用済み袋の保管を決めていない

回収・一時保管の動線がなく、衛生環境が悪化する。

選定のポイントとIPIC SONAEの選択肢

データセンターの備蓄では「大量・長期保存・省スペース、そして初見でも迷わず使える」ことが選定の軸になります。一般的な選び方は既存記事に譲り、DCで特に効く4点に絞ります。

長期保存で入れ替えを減らす

大量備蓄ほど更新の手間が増えます。保存期間が長いほど棚卸し・更新の負担を抑えられます。

省スペースで収まる

限られたバックヤードや区画に、必要数がコンパクトに収まるか。箱サイズと保管効率を確認します。

初見でも使える分かりやすさ

夜勤・交代直後の担当者でも、手順が少なく直感的に使えることが安心につながります。

凝固・消臭と処理までの配慮

素早く固まり、においを抑え、処理袋でまとめて回収まで見据えられるか。

こうした条件を満たす選択肢の一例が、医師・防災士監修で処理袋つき、15年保存に対応した非常用簡易トイレ「トイレのミカタ」です。凝固剤は素早く固まり、消臭・抗菌に配慮。60回分・120回分から選べ、施設規模に合わせて数量を調整できます。全施設で仕様を統一すれば、調達・在庫管理・訓練・教育も標準化しやすくなります。保存期間の考え方は保存期間の記事もご参照ください。

施設に合わせた法人備蓄を検討する

データセンターの在館人数や配置に合わせて、必要数量や運用のご相談を承っています。まずは選択肢の確認からでも構いません。

データセンターの非常用トイレ 実務チェックリスト

そのまま担当者の確認に使えるチェックリストです。BCP見直しや稟議の材料としてご活用ください。

  • 平常時の最大在館人数を、時間帯別(日中・夜間・休日)に把握している
  • 災害対応時の想定在館人数を、残留・応援・復旧要員を含めて見積もっている
  • 警備・清掃・常駐協力会社・テナント作業員を対象人数に含めている
  • 「対象人数 × 5回/日 × 想定日数」で必要回数を試算している
  • 最低3日分、可能なら7日分を目安に日数を設定している
  • 非常用発電機・UPSがあっても、給排水の安全確認前は水洗を止める前提を共有している
  • 中央防災倉庫のベース在庫と、各エリアへの初期配置を併用している
  • 停電・EV停止・区画移動を想定した配置になっている
  • 重要設備エリアへの持ち込み制限をセキュリティ規程に沿って決めている
  • 夜間・少人数でも回る運用手順と、判断者・代行者を決めている
  • 初見でも設置できる手順書を製品と同じ場所に置いている
  • 使用済み袋の密閉・回収・一時保管・処分の動線を決めている
  • 一時保管場所を重要設備・執務・飲食エリアから分離している
  • 消費数の記録と残数把握のルールがある
  • 夜勤想定・区画移動を含めた訓練で、上記が機能することを確認している

よくある質問

Q. データセンターにも非常用トイレは必要ですか?

はい。24時間365日、交代勤務で人が在館しており、災害時は交通停止で帰宅・交代ができず在館者が増える可能性があります。断水や排水設備の障害で水洗トイレが使えなくなる場面に備え、非常用トイレの備蓄が有効です。

Q. 非常用発電機やUPSが動いていれば水洗トイレも使えますか?

必ずしも使えるとは限りません。トイレを流せるかどうかは、電源だけでなく給水・排水の系統全体が正常であることが前提です。給水ポンプや排水管・下水道が損傷している場合、電源があっても使用を控える判断が必要になります。設備の安全が確認できるまでは非常用トイレへ切り替えます。

Q. 夜勤が少人数でも備蓄・運用できますか?

できます。ポイントは、夜間でも手が届く位置に初期配置しておくこと、判断者・代行者を決めておくこと、初見でも設置できる手順書を用意することです。手順を簡素に標準化しておけば、少人数でも運用が止まりません。

Q. 警備・清掃・常駐協力会社の分も備蓄に含めますか?

含めます。常駐する委託スタッフも災害時に施設内へ滞在する在館者です。自社従業員だけで数えると必要数を見誤るため、警備・清掃・受付・協力会社なども対象人数に含めて計算します。

Q. 災害時の応援・復旧要員はどう数えますか?

「災害対応時の想定在館人数」に加えます。大規模障害や災害では復旧・応援要員が追加で参集し、交代不着で日勤者が残ることもあります。平常時の人数だけでなく、こうした増員・残留を織り込んだシナリオで必要量を見積もります。

Q. 何回分・何日分を備えればよいですか?

「対象人数 × 1日あたり約5回 × 想定日数」で試算します。内閣府は災害への備えとして最低3日分、できれば1週間分程度の備蓄を呼びかけ、経済産業省は成人1人あたり35回分(7日分)を目安として示しています。公的資料ごとに対象や位置づけは異なり、いずれもデータセンター専用の数量基準ではありません。所在地の自治体制度や自社BCPも踏まえて想定日数を設定してください。

Q. 使用済みの袋はどこに保管しますか?

密閉したうえで、重要設備・執務・飲食エリアから離れた指定場所へ一時保管します。臭気・衛生・保管容量に余裕を持たせ、運搬動線もこれらのエリアを避けて設計します。処分方法は自治体によって異なるため、所在地のルールを確認してください。

Q. 複数棟・複数データセンターではどう考えますか?

各棟・各施設が初動を自立して回せることを優先します。拠点間の融通だけに頼ると交通停止時に成立しないため、拠点ごとに最低限の初動在庫を確保します。全施設で製品仕様を統一しておくと、調達・在庫管理・訓練・教育を標準化しやすくなります。

まとめ

データセンターのBCPは、設備を止めないための冗長化だけでは完成しません。24時間365日、施設を実際に動かしているのは人であり、災害時にはその在館者が増える可能性があります。

「対象人数の整理 → 必要回数の計算 → 中央+初期配置 → 夜間運用 → 使用済み袋の管理」という流れで、人が働き続けるための衛生環境を設計しておくことが、運用の継続性を支えます。まずは自施設の在館人数を時間帯別に洗い出すところから始めてみてください。

「設備を動かすBCP」と「人が働き続けるBCP」。IPIC SONAEは、防災を「じぶんゴト」として捉え、その両方を整える備えを応援しています。

参考情報

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