非常食は何日分必要?3日・7日分の備蓄量と人数別の計算方法
非常食をそろえようとすると、最初に迷うのが「何日分、つまり何食を買えばいいのか」という点です。3日分と1週間分、どちらを基準にすればよいのか。家族4人ならその何倍になるのか。セットに書かれた「4日分」「8日分」は、家族全員の日数なのか。
この記事では、人数×日数×食数という計算を軸に、必要な食事の回数、主食と副食の内訳、調理に使う水の量、そして手持ちの備蓄との差をご家庭で算出できる形に整理しました。公的機関が示している数字と、IPIC SONAE編集部としての目安は、ラベルで分けて示します。
この記事の結論|1人3日=9食、7日=21食
家庭の食料備蓄は、まず3日分を確実にそろえ、7日分を目標にします。1日3食で計算すると、1人あたり3日分で9食、7日分で21食です。
IPIC SONAE編集部の目安
大人1人・7日分=21食(3日分は9食)
根拠:農林水産省が示す「最低3日分から1週間分」の家庭備蓄に、1日3食を掛けた計算です。
条件による増減:活動量や年齢、妊娠・授乳、健康状態に応じて必要なエネルギーや食事内容は変わります。追加量を一律に決めず、必要に応じて専門家に相談してください。
ただし、この21食という数字が示しているのは食事の回数(食事機会数)であって、栄養が足りている状態ではありません。アルファ米を21袋そろえても、たんぱく質と野菜は別に必要です。そして、水で戻すタイプの食品を使うなら、その分の水も計算に入れる必要があります。
- 食数:1人3日=9食、7日=21食。4人家族の7日分は84食
- 内訳:主食だけで埋めず、主菜(たんぱく源)と副菜を組み合わせる
- 水:1人1日3L(飲料+調理)。食品を戻す水は3Lの内訳として計画し、飲用分が不足する場合は追加する
- 初日:災害当日の1日分は、調理せずに食べられるものを確保しておく
- セット表示:「◯日分」は多くが1人分の表示。家族の人数で割って確認する
備蓄全体(水・トイレ・衛生用品・照明まで含めた6領域)の数量は防災備蓄品リスト完全ガイドで整理しています。この記事は、そのうち自宅に備える食料に絞って掘り下げます。 非常食の種類・選び方・保存方法の全体像は非常食の選び方完全ガイドをご覧ください。避難時に背負って持ち出す分は役割が違うため、防災リュックに入れる非常食は何食必要?をあわせてご覧ください。
非常食・非常用食品・防災食品・長期保存食品の違い
検索していると、同じようなものを指す言葉がいくつも出てきます。先に整理しておくと、以降の計算で迷いません。
非常食・非常用食品・防災食品は、災害時に食べることを想定した食品を指す言葉として、近い意味で使われることが多い呼称です。一方長期保存食品は、保存性の高さに注目した呼び方で、災害専用の商品とは限りません。缶詰、乾麺、ロングライフ牛乳、乾物なども含まれます。
これらは法令や公的機関が定めた分類ではありません。商品や記事によって使い分けが異なるため、言葉の違いではなく「そのまま食べられるか」「水や加熱が必要か」「何年もつか」という中身で判断してください。
この記事では、主に使われる「非常食」を用いながら、必要に応じて他の呼び方も併記します。保存年数そのものの比較は、別の記事で扱います。
「最低3日・できれば1週間」はどこから来た数字か
よく目にする「3日分」「1週間分」には、根拠があります。
公的情報
農林水産省は、災害発生からライフライン復旧まで1週間以上を要した事例が過去に多く見られること、災害支援物資が3日以上到着しないことや、物流機能の停止によって1週間はスーパーマーケットなどで食品が手に入らないことも想定されることを挙げ、1人当たり最低3日分から1週間分の食品の家庭備蓄が望ましいとしています。あわせて、災害が発生した当日1日分の備えとして、調理せずに食べられる食料品を確保することが重要だとしています。
つまり3日分は「支援が届くまでの最低ライン」、1週間分は「ライフラインと物流が戻るまでの現実的な目標」です。どちらか一方が正解ではなく、段階が違います。
なお、ここでの日数は家庭に備蓄する量の話です。避難所へ向かうときにリュックへ詰める量とは別に考えます。両者の違いは防災リュックは何日分必要?で詳しく整理しています。企業の備蓄日数と対象人数の決め方は、制度の前提が異なるため企業の防災備蓄ガイドに分けています。
人数別・日数別の必要食数 早見表
「人数 × 3食 × 日数」で求めた食事機会数です。ご家庭の人数の行をご覧ください。1日3食という前提を変える場合は、3のところを置き換えて計算してください。
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 人数 | 3日分 | 7日分 | 7日分を主食の米で備える場合の目安 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 9食 | 21食 | 約1.6kg |
| 2人 | 18食 | 42食 | 約3.2kg |
| 3人 | 27食 | 63食 | 約4.7kg |
| 4人 | 36食 | 84食 | 約6.3kg |
| 5人 | 45食 | 105食 | 約7.9kg |
公的情報
右端の列は、農林水産省が示す米1人1食75グラム程度という目安から計算しています(75g × 21食 = 1,575g ≒ 1.6kg/人)。全食を米でまかなう想定ではなく、主食量の感覚をつかむための参考値です。実際はパン、麺、パックごはんなどに分散します。
この表で出た数が、以降の計算すべての出発点になります。まずご自宅の人数で、3日分と7日分の2つの数字を書き出してみてください。
「1食」とは何か|食事機会数と栄養は別の話
ここが、多くの備蓄でつまずくところです。
9食・21食という数字は、食事の「回数」を数えたものです。アルファ米1袋が栄養バランスの整った1食分、という意味ではありません。アルファ米やパックごはんは主食であり、それだけではたんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維が不足します。
混同しやすい3つを分けて考えてください。
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 数えるもの | 意味 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 食事機会数 | 朝・昼・夕の回数。人数×3食×日数で求まる | 前章の早見表 |
| 商品点数 | 手元にある袋・缶・パックの数 | 棚卸しで数える |
| 栄養の充足 | 1回の食事が主食・主菜・副菜で組めているか | 献立として並べて確認する |
商品名の「◯日分」をそのまま栄養の完結と読まない
市販セットの「4日分」「8日分」は、多くが1人分の食事機会数に対応する表示です。主食中心のセットであれば、主菜・副菜は別に用意することになります。また同じセット内でも、おかゆ・おこげ・リゾット・レトルトでは1包装の内容量が異なります。1包装を同じ「1食」とみなせるかは、パッケージの内容量と栄養成分表示でご確認ください。
この記事では以降、回数は「食事機会」、中身は「主食・主菜・副菜」と呼び分けて進めます。
21食の内訳|主食・主菜・副菜の組み方
農林水産省は、エネルギー源になる米などの主食、たんぱく質源になる肉や魚の缶詰、野菜ジュース、乾物などをそろえるよう案内しています。この考え方を、21食という枠に落とし込みます。
IPIC SONAE編集部の目安
1人7日分(21食)の内訳
主食を21回の食事機会に配分し、主菜・副菜は各食の内容と必要な栄養に応じて組み合わせる。菓子・栄養補助食品は食事とは別の補助として用意
これは編集部の組み立て方の例であり、公的な必要食数や栄養充足を保証する数値ではありません。主菜・副菜の数量は実際の献立と食品表示から確認してください。
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 役割 | 1人7日分の目安 | 該当する食品の例 |
|---|---|---|
| 主食(エネルギー・炭水化物) | 21食分 | アルファ米、パックごはん、長期保存パン、乾麺、カップ麺、シリアル |
| 主菜(たんぱく質) | 献立に合わせて算定(固定の食数基準なし) | 魚・肉の缶詰、レトルトのカレーや牛丼の素、大豆製品、ツナパウチ |
| 副菜・汁物(ビタミン・ミネラル・食物繊維) | 献立に合わせて算定(固定の品数基準なし) | 日持ちする野菜、乾物、野菜ジュース、果物の缶詰、インスタント味噌汁 |
| 予備・気分転換 | 間食・補助として必要量を別途判断 | ビスケット、羊羹、栄養補助食品、チョコレート |
主食だけを21食そろえた状態は、数字の上では「7日分」ですが、7日間続けると食事としては偏ります。主菜と副菜の列が空のままになっていないか、購入前に確認してください。
7日間21食のモデル献立と調理区分
必要な数が分かっても、7日分の食事がどう並ぶかは想像しにくいものです。1人分・7日間・21回の食事機会を、組み合わせの例として並べました。商品の指定ではなく、区分の配置を確認するための型としてご覧ください。
調理区分の凡例
● そのまま食べられる(水・加熱・器具なし)
▲ 水またはお湯を注いで戻す(注水量は商品表示に従う)
■ 加熱が必要(カセットコンロ、加熱袋などの熱源が必要)
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| 日 | 朝 | 昼 | 夕 |
|---|---|---|---|
| 1日目 | ● 長期保存パン+野菜ジュース | ● 魚の缶詰+クラッカー+果物缶 | ● 開封後そのまま食べられる主食(長期保存パンなど)+肉の缶詰 |
| 2日目 | ● シリアル+ロングライフ牛乳 | ▲ アルファ米+ツナパウチ | ▲ アルファ米+常温でそのまま食べられるレトルトカレー+水で戻せる乾燥野菜(各製品表示を確認) |
| 3日目 | ● 長期保存パン+果物缶 | ▲ おかゆタイプ+梅干し・のり | ■ パックごはん+レトルト牛丼の素+インスタント味噌汁 |
| 4日目 | ▲ おかゆタイプ+野菜ジュース | ● おこげ・スナックタイプ+豆の缶詰 | ▲ アルファ米+魚の缶詰+乾物の和え物 |
| 5日目 | ● ビスケット+ロングライフ牛乳 | ■ カップ麺+そのまま食べられるたんぱく源の缶詰 | ▲ アルファ米(味付き)+肉のレトルト+野菜ジュース |
| 6日目 | ● 長期保存パン+果物缶 | ▲ リゾットタイプ+クラッカー | ■ 乾麺(そうめん・パスタ)+レトルトソース |
| 7日目 | ● シリアル+野菜ジュース | ▲ アルファ米+ツナパウチ+乾燥わかめのスープ | ■ パックごはん+レトルト+インスタント味噌汁+羊羹 |
この例では、初日をすべて「●そのまま食べられる」食品で組んでいます。表の主な調理区分は●9回・▲8回・■4回です。ただし、同じ食事内でも食品ごとに調理条件が異なります。▲の献立に加熱が必要な食品を組み合わせる場合は、熱源を確保するか、そのまま食べられる製品に変更してください。
この献立表は、組み合わせの考え方を示すための例です。特定の商品だけで必要な栄養が満たされることを示すものではありません。エネルギー量や栄養成分は商品ごとに異なるため、実際の備蓄は手元の商品の栄養成分表示を見て調整してください。
食事に使う水の算定|二重計上を避ける
非常食の計算で最後に残るのが水です。ここは混乱しやすいので、原典の定義から確認します。
公的情報
農林水産省の家庭備蓄の例では、水の目安を1人1日およそ3リットル程度(飲料水+調理用水)としています。つまり3Lという数字には、すでに調理に使う水が含まれています。
この定義を踏まえると、食事に関わる水は3つに分けて考えられます。
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| 用途 | 1日3Lとの関係 | 算定の方法 |
|---|---|---|
| 飲用(そのまま飲む水・お茶など) | 3Lの内数 | 3L-調理用水=飲用に回せる量 |
| 調理用(アルファ米・麺・スープを戻す水) | 3Lの内数 | 1食あたりの注水量 × 食数で積み上げる |
| 衛生用(手洗い・食器のすすぎ・清掃) | 3Lに含まれない/別枠 | 飲料水とは別に生活用水として確保する |
注水量は商品ごとに異なります
アルファ米や麺類を戻すのに必要な水の量は、商品・味・できあがりの状態(ごはん/おかゆ)によって変わります。IPIC SONAEの商品ページには注水量の記載がないため、この記事では具体的なミリリットル数を示していません。お手元のパッケージ裏面、またはメーカーの公式情報で確認し、上の式に当てはめてください。
整理すると、3Lは飲用・調理用を合わせた基本の計画目安です。飲用に必要な量を確保し、調理用水を製品表示から積算して、不足する場合は追加で備えますものです。一方で、手洗いやすすぎに使う生活用水は3Lの外側にあります。ここを取り違えると、必要量を二重に数えたり、逆に衛生用水を数え落としたりします。
なお、水を一滴も使わずに済ませたい日があるなら、献立の「●そのまま食べられる」の比率を上げるのが確実です。飲料水の備え方そのものは、防災備蓄品リスト完全ガイドの飲料水の項と、持ち出し分については防災リュックに水はどれくらい必要?で扱っています。
市販セットの内容点数と必要食事機会を比較する
必要食数が出たら、次は「商品点数と食事機会数の違いを確認すること」です。IPIC SONAEで取り扱っている2つのセットを例に、人数・日数との対応を計算しました。
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| セット | 内容 | 1包装の構成 | 賞味期限 |
|---|---|---|---|
| アルファ米12種4日分セット | 主食12包装(栄養的に完結した12食ではない) | 安心米(個食タイプ)12種。スプーン入りで袋が容器になる | 製造から5年 |
| アルファ米・リゾット・おこげ26種8日分セット | 26品目(食事機会数との同一視は不可) | 安心米12種、安心米クイック4種、リゾット3種、おこげ4種、長期保存レトルト3種 | 製造から5年(リゾット・おこげは7年) |
いずれも商品名の日数は1人分です。12品を1日3食で割れば4日分、26品目入りの「8日分」という表示は商品名上の目安であり、内容量の異なる全26品目を通常の食事26回分と同一視できません。家族で備える場合は、人数分を掛け直す必要があります。
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| 世帯と日数 | 必要食事機会 | 26品目セット1箱との点数差(仮定) | 26品目セットの箱数(点数差・仮定) | 12包装セットの箱数(包装数差・仮定) |
|---|---|---|---|---|
| 1人・3日 | 9食 | +17(点数差) | 1箱(点数超過17) | 1箱(点数超過3) |
| 1人・7日 | 21食 | +5(点数差) | 1箱(点数超過5) | 2箱(点数超過3) |
| 2人・7日 | 42食 | −16(点数差) | 2箱(点数超過10) | 4箱(点数超過6) |
| 3人・7日 | 63食 | −37(点数差) | 3箱(点数超過15) | 6箱(点数超過9) |
| 4人・7日 | 84食 | −58(点数差) | 4箱(点数超過20) | 7箱(点数超過0) |
表の箱数は、すべての包装を仮に1回分と数えた場合の算術例です。たとえば84回の食事機会と26品目入り1箱の点数差は58点、4箱なら104点で20点多くなります。しかし実際の食事が84回成立することや、栄養面の充足を意味しません。おこげ・ぜんざいなどを通常の1食として数えず、各商品の内容量・用途を確認して献立を組み立ててください。
この表は商品点数を使った仮定の計算であり、食事機会数の充足を示すものではありません
どちらのセットも、主食を中心に構成されています。たんぱく源となる缶詰やレトルト、野菜ジュースや乾物といった副菜、そして戻すための水は、この箱数には含まれていません。前章までの内訳表と水の計算を、セットとは別に確認してください。アレルギーへの配慮が必要な場合は、セット内の品目ごとに原材料表示をご確認ください(12種セットは特定原材料28品目不使用と表示されています)。
必要食数と手持ちの差を埋めたい方へ
26種8日分セットは、アルファ米・リゾット・おこげ・長期保存レトルトを組み合わせた26品入りです。味や食感の異なる食品を組み合わせられます。必要な主食・主菜・副菜の量は別途確認してください。内容量と賞味期限は商品ページでご確認ください。
乳幼児・高齢者・アレルギー・持病がある場合
ここまでの計算は、一般的な食事を前提にした計算モデルです。次に当てはまる方がご家庭にいる場合、食数ではなく中身そのものを個別に用意する必要があります。
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 対象 | 検討したいもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 乳児 | 液体ミルクまたは粉ミルク、調乳用の水、哺乳用品 | 配給で月齢に合うものが得られるとは限りません |
| 幼児・子ども | 食べ慣れた味、薄味の主食、水で戻せるもの | 辛味・濃い味の備蓄に偏ると食べられないことがあります |
| 高齢者・嚥下に配慮が必要な方 | やわらかい主食、おかゆタイプ、とろみ調整用品 | 食事機会は減らさず、1食の量と形状で調整します |
| 食物アレルギー | 対応食品、原材料表示を確認した上での備蓄 | セット購入の場合も品目ごとに表示を確認します |
| 持病・食事制限がある方 | 療養に合った食品、常用薬 | 必要量や内容は自己判断で決めず、医師や管理栄養士にご相談ください |
公的情報でも、高齢者・乳幼児・慢性疾患のある方・介護を要する方・食物アレルギーのある方に配慮した食料品は、別途準備するよう案内されています。一般的なセットの「◯日分」は、こうした個別の必需品を含んでいません。
自宅の棚卸しから不足食数を出す記入表
買い足す数は、必要食数から手持ちを引けば出ます。実際に数えてみると、思っていたより足りていることも、主食だけに偏っていることも見えてきます。
次の表に、ご家庭の数字を書き込んでみてください。非常食用に買ったものだけでなく、普段の食品棚にある缶詰・乾麺・レトルトも対象に数えます。
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 区分 | 必要数(式) | 保有数 | 不足数 | 最短の賞味期限 |
|---|---|---|---|---|
| 主食 | 3食 × ___人 × ___日 = ___食 | |||
| 主菜(缶詰・レトルト) | 1日2食分 × ___人 × ___日 = ___食 | |||
| 副菜・汁物 | 1日3品 × ___人 × ___日 = ___品 | |||
| そのまま食べられる主食 | 1日1食以上 × ___人 × ___日 | |||
| 調理用水 | 注水量___mL × ___食 ÷ 1,000 = ___L | |||
| カセットボンベ | 使用するコンロの燃焼時間・調理回数から算定(公的な備蓄例の本数は参考) | |||
| 乳幼児・アレルギー等の個別食品 | ___食 |
不足数が大きくても、一度に埋める必要はありません。次章の順番で、3日分から積み上げてください。
3日分から7日分へ増やす順番と保管
優先順位をつけると、限られた予算と収納でも進められます。
- 1日目を「そのまま食べられるもの」で固める:停電・断水の直後は調理できない前提に立ちます。人数×3食分を、水も火も使わない食品で確保します
- 3日分(1人9食)の主食をそろえる:アルファ米、パックごはん、長期保存パンなど、保管しやすいものを中心に
- 3日分の主菜・副菜を足す:缶詰とレトルトを主菜に、野菜ジュースと乾物を副菜に。ここで初めて「食事」として成立します
- 7日分(1人21食)へ延ばす:ここからは普段の買い物でローリングストックに切り替えると負担が減ります
- 熱源と調理用水を確認する:カセットボンベの本数と、注水に使う水の量を計算し直します
公的情報
農林水産省は、ふだん使いの食料品を多めに買い置きし、使ったらその分を買い足すローリングストックを勧めています。賞味期限が近づいたものから普段の料理に使い、新しいものを追加して循環させる方法です。カセットボンベの本数は公的な備蓄例を参考にしつつ、実際のコンロ・調理回数・燃焼時間に合わせて確認してください。
保管は1か所にまとめず、食品棚・納戸・クローゼットなどに分散させます。家具の転倒や浸水で一度に取り出せなくなるのを避けるためです。点検は年2回、防災の日と年末の大掃除にあわせると続けやすくなります。
加熱の手段をどう備えるか
温かい食事は、長期化したときの体調と気持ちを支えます。ただし加熱手段は食品ではないため、食数とは別に数えます。
選択肢は主に2つです。カセットコンロとボンベは湯沸かしや調理の自由度が高く、火を使わない加熱袋タイプも、高温の蒸気や発生ガスへの注意と製品指定の換気条件が必要です。どちらか一方ではなく、使える状況が違うものとして考えます。
IPIC SONAEで扱っているモーリアンヒートパック 加熱セット Lは、発熱剤に水を注いで蒸気で温めるタイプです。Lサイズは発熱剤3個・加熱袋1枚の3回分構成で、保存は製造から約6年、加熱時間はおよそ15〜20分と案内されています。発熱に使用できる水の種類は製品説明書で確認してください。飲用以外の水を利用できる場合でも、災害時に安全に採水・使用できるとは限らないため、必要な水の確保方法を事前に検討してください。
加熱用品は食品ではありません。使用方法は必ず製品の説明に従ってください
加熱中は蒸気穴から高温の蒸気が出るため、やけどにご注意ください。蒸気とともに水素ガスが発生するため、蒸気穴に火気を近づけないこと、加熱中に動かさないことが製品の注意事項として示されています。ペットボトル容器は変形のおそれがあるため耐熱性のある容器に移し替えること、発熱後の残り水は飲めないこと、お子様の使用時は保護者が付き添うことも明記されています。密閉した空間での使用は避け、製品が指定する使用目的・使用方法を守ってください。
よくある質問
Q. 非常食は何日分、何食用意すればいいですか?
1人あたり最低3日分=9食、目標は7日分=21食です。1日3食で計算しています。4人家族なら3日分で36食、7日分で84食になります。農林水産省は、1人当たり最低3日分から1週間分の家庭備蓄が望ましいとしています。
Q. 「4日分」「8日分」と書かれたセットは、家族全員の分ですか?
多くは1人分の表示です。12品入りのセットは1日3食で割ると1人4日分、26品入りなら1人8日分という計算になります。4人家族で7日分(84食)を目指す場合、26品目をすべて1回分と仮定した計算では4箱相当ですが、実際の必要箱数は食品の内容量と献立によって変わります。購入前に、何人分として何食入っているかをご確認ください。
Q. 主食だけを21食そろえれば7日分になりますか?
食事の回数としては7日分ですが、栄養としては不足します。主食に加え、たんぱく源や野菜類を献立ごとに組み合わせ、栄養成分表示を確認して必要量を決めてください。
Q. 水は食料とは別に計算するのですか?
水の目安は1人1日3L(飲料+調理)で、アルファ米などを戻す水はこの3Lの内数として扱います。まず3Lの内訳として計算しますが、飲用分が不足する場合は追加備蓄が必要です。一方、手洗いや食器のすすぎに使う生活用水は3Lに含まれないため、別に確保します。
Q. アルファ米1袋を戻すのに、水はどれくらい必要ですか?
必要な注水量は商品・味・できあがりの状態によって異なります。パッケージ裏面の表示、またはメーカーの公式情報をご確認のうえ、「注水量 × 食数 ÷ 1,000」で必要なリットル数を計算してください。
Q. 停電してお湯が沸かせないときはどうなりますか?
水でも戻せる食品と、そのまま食べられる食品でしのぎます。農林水産省も、災害が発生した当日1日分の備えとして、調理せずに食べられる食料品を確保することが重要だとしています。加熱できない期間を想定し、調理不要の食品を複数回分確保してください。
Q. 非常食と長期保存食品は違うものですか?
非常食・非常用食品・防災食品は、災害時に食べることを想定した食品として近い意味で使われます。長期保存食品は保存性に着目した呼び方で、缶詰や乾物など災害専用ではないものも含みます。いずれも公的に定められた分類ではないため、中身で判断してください。
Q. 7日分は多すぎませんか。まず何から買えばいいですか?
まず3日分(1人9回の食事機会)を確保し、その後1週間分以上へ増やしましょう。そのうち1日目の3食を、水も火も使わずに食べられるものにしてください。そこから普段の買い物で少しずつ足していけば、特別な出費をせずに7日分へ近づけられます。
まとめ
非常食の必要量は、「人数 × 3食 × 日数」で求まります。1人なら3日で9食、7日で21食。4人家族の7日分なら84食です。まず3日分を確実にそろえ、そこから7日分へ延ばします。
ただし、食事の回数をそろえることと、食事として成立させることは別です。主食21食分に主菜と副菜を重ね、1日目は水も火も使わない食品で固め、戻すための水を飲用分と合わせて計算し、不足する場合は追加する。ここまで確認して、ようやく計算が現実の食卓につながります。
まずは、ご家庭の人数で必要食数を1つ書き出し、食品棚にあるものを数えてみてください。その差が、次に用意する数です。防災を、『じぶんゴト』に。
AUTHOR / SUPERVISOR
執筆・監修|防災士 山根
アイピック株式会社所属。2024年に防災士資格を取得。IPIC SONAEで展開してきた製品すべての開発に携わり、商品開発で得た実務的な知見と防災士としての専門知識をもとに、防災情報を執筆・監修しています。
参考にした一次情報
- 農林水産省「知って備える 家庭備蓄のイロハ」(aff 2026年3月号)|備蓄日数、水1人1日3L(飲料水+調理用水)、カセットボンベ1人1週間約6本、米1人1食75g程度、1週間分の備蓄例
- 農林水産省「特集1 非常食(2)」|最低3日分・できれば1週間分、災害当日1日分は調理せず食べられる食料品、ローリングストック、主食・たんぱく質源・野菜類の組み合わせ
- 農林水産省「家庭備蓄ポータル/災害時に備えた食品ストックガイド」|家庭備蓄の進め方、要配慮者向けの備蓄
- 農林水産省「災害時のために、備えていますか?」|大人1人・1週間分の備蓄例