企業の防災備蓄ガイド|必要品目・人数別の備蓄量・管理方法

企業の防災備蓄ガイド。オフィスに備える飲料水・非常食・非常用トイレ・防災ヘルメットなどの必要品目と、従業員数に応じた備蓄量・管理方法を解説

企業の防災備蓄で最初につまずくのは、品目選びではありません。「何人分を、何日分そろえるのか」という前提が決まらないことです。在籍人数だけで計算すると勤務形態によっては過大になる一方、平均出社率だけで減らすと繁忙日や出社指定日に不足するおそれがあります。

この記事は、総務・BCP・施設管理・購買のご担当者が、対象人数の確定から品目・数量の算定、保管、管理台帳、更新費用の予算化、見積依頼までを一度に進められるよう整理したものです。公的機関が示している数値と、IPIC SONAE編集部としての考え方は、ラベルで分けて示します。

結論|決める順番は「対象人数 → 日数 → 品目 → 運用」

企業の防災備蓄を計画する4つの手順

1. 備蓄対象人数を確定する。在籍人数と拠点ごとの最大同時在館人数を照合し、同時来訪者の想定も含めて対象を決めます。二重計上を避けます。

2. 施設内にとどまる想定日数を決める。首都直下地震を想定した国のガイドラインは3日分を目安としています。所在地の条例・自社のBCPと照らして日数を確定します。

3. 品目ごとに数量を算定する。水・主食・毛布には公的な原単位があります。トイレ・衛生用品・照明・情報・救急などは、物資ごとに自社で算定します。

4. 保管・点検・更新の担当を決める。買った時点では備蓄は機能しません。保管場所、配布の手順、点検日、更新費用の予算化まで決めて完了です。

この記事は、企業・施設の調達実務に絞っています。家庭も含めた備蓄全体の考え方は別記事で扱い、ここでは対象人数の確定、品目横断の数量算定、台帳と更新費用の予算化に集中します。防災ヘルメット単体の調達、非常用トイレの必要回数、複数拠点への配分、訓練の進め方は、それぞれ専門記事へ送ります。

公的基準はどこまで適用されるのか

企業の備蓄について「3日分」という数字が広く使われていますが、その根拠と適用範囲は正確に押さえておく必要があります。社内の決裁資料では、ここが曖昧だと差し戻しになります。

国のガイドライン

公的情報首都直下地震帰宅困難者等対策連絡調整会議「事業所における帰宅困難者等対策ガイドライン」(令和6年7月26日)は、発災後72時間が人命救助に重要な期間であることから、従業員等を施設内に待機させる必要があるとし、備蓄量の目安を3日分としています。対象となるのは「首都直下地震発生により被災の可能性がある国、都県、市区町村等の官公庁を含む全ての事業者」で、対象となる従業員等は雇用の形態(正規・非正規)を問わず、事業所内で勤務する全従業員とされています。あわせて、震災の影響の長期化に備えて3日分以上の備蓄を検討することにも触れられています。

東京都の条例

公的情報東京都帰宅困難者対策条例は、事業者に対し、従業者の施設内での待機を維持するため、3日分の飲料水・食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めることを定めています(第7条第2項)。これは努力義務であり、罰則を伴う義務規定ではありません。

全国一律の法定最低数ではありません
上記は首都直下地震を想定したガイドラインと、東京都の条例にもとづく努力義務です。備蓄に関する条例・要綱の有無や内容は自治体によって異なります。他府県に拠点がある場合は、所在地の防災担当部署の情報を確認したうえで日数と対象者を決めてください。自治体が別の対象者定義や算定方法を示している場合は、そちらの適用範囲が優先されます。

施設内待機を前提にしない判断も必要

備蓄は「施設内にとどまれる」ことが前提です。ガイドラインでは、建物や周辺が安全でない場合、行政機関からの一時滞在施設等の開設情報をもとに、従業員等を一時滞在施設等へ案内・誘導するとされています。テナントビルの場合は施設管理者の指示に従います。

つまり、備蓄の整備と同時に、施設の安全点検チェックリストと待機できない場合の行動手順を決めておく必要があります。備蓄があることを理由に、危険な建物内での待機を強制する運用にはしないでください。

備蓄対象人数の決め方|在籍人数で計算しない

多くの早見表は「従業員数」を横軸にしています。しかし在籍人数と実際の最大同時在館人数は必ずしも一致しません。過去の在館実績や繁忙期のシフト、出社指定日を確認し、所在地の制度・ガイドラインに沿って計画します。

起点は拠点ごとの最大同時在館人数

公的情報東京都の帰宅困難者対策ハンドブックは、全従業者が常に職場にいるわけではない場合について、厳格に全従業者×3日分が必要かという問いに対し、発災時およびその直後に職場にいるであろう従業者が3日間待機できる量を備えてほしいという趣旨だと説明しています。

IPIC SONAE編集部の考え方この説明を踏まえ、備蓄対象人数は次の式で積み上げることをおすすめします。在籍人数も確認したうえで、実際に同時在館し得る人数を検討します。制度上の算定方法が別途定められている場合は、その条件を優先します。

備蓄対象人数 = 拠点ごとの最大同時在館人数 + 同時来訪者の想定 + 目的を明示した上乗せ分委託業者・常駐スタッフが最大同時在館人数にすでに含まれている場合、別枠で足さないでください

勤務形態ごとの扱い

※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。

区分 算定での扱い 確認すること
常勤(フルタイム) 最大同時在館人数に算入 外回り・出張で不在の比率。在席率の実測があれば使う
非常勤・パート・アルバイト 最大同時在館人数に算入 雇用形態を問わず対象。繁忙期のシフト最大人数を見る
シフト勤務・交代制 最も人数が多い時間帯で算入 引継ぎ時間帯は2シフトが重なる。そこが最大になることがある
在宅勤務・リモート 最大同時在館の想定に応じて算入 通常は在宅でも、出社指定日・会議・訓練などで同時在館する可能性を確認する
派遣・常駐委託業者 在館していれば算入 すでに在館人数に含めていないか。清掃・警備・設備は夜間も在館することがある
来訪者(顧客・取引先) 別枠で算入 来訪者数の実績ピーク。会議室・ショールームの稼働が多い拠点ほど大きい
複数拠点の兼務者 いずれか一方のみに算入 全社合計時に同じ人を2拠点で数えていないか

積み上げの例

以下は説明のための架空のオフィスです。実際の人数は自社の勤務実態に置き換えてください。

  • 在籍従業員120名そのままは加算しない。外回り・在宅勤務・シフトで全員が同時に在館するわけではない
  • 最大同時在館(従業員)85名出社指定日の実測。常駐委託5名を含む
  • 常駐委託業者0名85名にすでに含まれているため別枠にしない
  • 同時来訪者8名来訪記録のピーク実績から
  • 上乗せ分7名来訪者の変動に備える目的。率ではなく人数で根拠を残す
  • 備蓄対象人数100名120名と85名を足さない。重複を除いた実在館ベース

公的情報国のガイドラインは、3日分の備蓄を行う場合でも、共助の観点から、外部の帰宅困難者(来社中の顧客・取引先や発災時に建物内にいなかった帰宅困難者など)のために10%程度の量を余分に備蓄することも検討していく、としています。これは検討項目であり、一律に義務づけられた上乗せ率ではありません。自社が外部の帰宅困難者を受け入れる方針かどうかで扱いが変わります。

IPIC SONAE編集部の考え方上乗せを「全社一律◯%」で決めることはおすすめしていません。根拠が説明できないまま数量が増え、更新費用が毎年効いてきます。上乗せを置くなら、来訪者の変動/外部受入れの方針/不良・破損への備えのどれに対する備えかを先に決め、台帳に目的を残してください。

備蓄日数の決め方

日数は、①所在地の制度、②自社BCPの復旧目標、③拠点の立地条件の3つで決まります。3日分はあくまで出発点です。

※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。

日数 位置づけ 選ぶ目安
3日分 公的情報国のガイドラインが示す目安。東京都は条例で努力義務 まず全拠点でここを満たす。決裁の説明がしやすい
3日分+α 編集部の目安ガイドラインが挙げる「3日分以上の検討」の具体化 都市部で帰宅困難が長引きやすい拠点、夜勤がある拠点
7日分 編集部の目安ライフライン復旧に1週間以上を要した事例が多いことを踏まえた上限側の設定 支援到達が遅れやすい郊外・島しょ・山間部の拠点、入居者や患者がいる施設

IPIC SONAE編集部の考え方全拠点を一律に7日分へ引き上げるより、全拠点3日分を先に満たし、条件の厳しい拠点だけ上積みするほうが、限られた予算と保管スペースでは機能します。品目によって日数を変えるのも現実的です。水とトイレは我慢で先送りできないため先に延ばし、毛布や敷物は3日分のまま据え置く、といった配分です。

品目の優先順位と一覧

全員分が必要なものと、施設や個人の事情に応じて用意するものを分けると、数量算定が一度で終わります。

※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。

優先度 品目 数量の決め方 算定の根拠と注意点
最優先 飲料水 対象人数 × 3L × 日数 公的情報1人1日3L、3日で計9L
最優先 主食 対象人数 × 3食 × 日数 公的情報1人1日3食、3日で計9食。アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺が例示
最優先 簡易トイレ 対象人数 × 5回 × 日数 公的情報経済産業省は成人の平均排泄回数を1日5回としている。ガイドラインは必要性の高い品目として例示(数量は自社算定)
最優先 衛生用品 物資ごとに算定 トイレットペーパー、手指の清拭用品、ごみ袋、使い捨て手袋。断水時は水を使わない手段が前提になる
高 毛布・保温シート 対象人数 × 1枚 公的情報1人当たり1枚
高 照明・乾電池 設置場所の数から算定 ガイドラインは懐中電灯・乾電池を例示(数量は自社算定)。使用場所ごとの配置で決める
高 情報入手手段 拠点・フロア単位 携帯ラジオを例示。停電時の電源確保を含めて管理方法を決める
高 敷物 待機場所の面積から算定 ビニールシート等。待機スペースの床をそのまま使わせない
中 救急医療薬品類 物資ごとに算定 ガイドラインの例示品目。医療行為に関する判断は含めない
中 ヘルメット・軍手 同時在館人数から算定 事業継続の要素を加味して検討する品目として例示。詳細は専門記事へ
中 非常用発電機・燃料 必要負荷から算定 燃料は危険物関係法令等により消防署への許可申請等が必要なことがあり、保管場所・数量に配慮が必要
個別 配慮が必要な方の用品 該当者の実数から 常用薬、生理用品、アレルギー対応食、介助用品。該当者がいる場合は最優先と同列に扱う

優先度を下げてはいけない品目があります
常用薬、アレルギー対応食、生理用品などは、該当する従業員にとって代替がききません。「個別」と分類していますが、該当者がいる場合は水や照明と同じ最優先として扱ってください。本人に必要量を確認する場合は、健康情報の取り扱いに配慮し、申告は任意とする運用が前提です。

30名・100名・300名の数量算定

以下の人数は、すべて備蓄対象人数です。在籍従業員数ではありません。前章で積み上げた人数を、近い行に当てはめてください。

3日分の必要量(公的原単位による)

※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。

品目(3日分の原単位) 30名 100名 300名 算定式
飲料水(9L) 270L 900L 2,700L 対象人数 × 3L × 3日
2L換算の本数 135本 450本 1,350本 必要L ÷ 2L
2L×6本ケース数 23箱 75箱 225箱 本数 ÷ 6(端数は切り上げ)
主食(9食) 270食 900食 2,700食 対象人数 × 3食 × 3日
毛布・保温シート(1枚) 30枚 100枚 300枚 対象人数 × 1枚
簡易トイレ(15回分) 450回分 1,500回分 4,500回分 対象人数 × 5回 × 3日

共助分を10%上乗せした場合

外部の帰宅困難者を受け入れる方針をとる場合の参考値です。上乗せの要否は自社方針で判断してください。

※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。

品目 33名分(30+3) 110名分(100+10) 330名分(300+30)
飲料水 297L 990L 2,970L
主食 297食 990食 2,970食
毛布・保温シート 33枚 110枚 330枚
簡易トイレ 495回分 1,650回分 4,950回分

端数と予備の扱い

  • 端数は切り上げる:ケース単位・箱単位で納品されるため、必要量を下回らない最小の箱数に丸めます
  • 丸めた余剰を「予備」と呼ばない:箱単位への切り上げで生じた余りは、目的のある予備とは別物です。台帳では区別して記録します
  • 日数を延ばす場合は品目ごとに:全品目を一律に7日分へ倍増すると、保管容積と更新費用が一気に増えます。水とトイレから延ばすのが現実的です
  • 上乗せ分は人数で記録する:「10%」ではなく「来訪者変動分として10名分」と残しておくと、翌年の説明と見直しが楽になります

トイレットペーパーの数量

トイレットペーパーについて、企業向けの公的な数量の目安は確認できませんでした。国のガイドラインは衛生用品の一例として挙げるにとどめ、その他の品目は物資ごとに必要量を算定するとしています。

IPIC SONAE編集部の試算1回の使用を1〜2mとすると、1人1日5回で5〜10m、3日で15〜30mです。1ロールの長さは製品によって異なるため、調達する製品の表示長さで割って本数を出してください。目安としては、1人あたり1ロールを下限に置くと、共用で消費が読みにくい職場でも不足しにくくなります。100名なら100ロールです。

非常用トイレは「回数」だけでは足りない

必要回数を満たしても、トイレは機能しないことがあります。回数の算定そのものは専門記事に譲り、ここでは運用が成り立つかどうかを扱います。

便器・個室の数が処理能力の上限になる

100名・3日分で1,500回分を用意しても、使える個室が4つなら、1日あたり500回を4個室で処理することになります。1個室あたり125回/日。日中12時間に集中すれば、1個室あたり約5.8分に1回のペースで利用を処理する計算です。これは入退室・便袋交換・清掃を含めた平均処理間隔で、利用が集中する時間帯にはさらに余裕が必要です。

IPIC SONAE編集部の考え方この試算は個室数が足りることを保証するものではありません。必要回数を出したら、既存の個室数で回るかを必ず確認してください。足りなければ、組立式の便座を追加して使用場所を増やす、フロアごとに使用できる個室を割り当てる、使用時間帯を分散する、といった対応が必要になります。箱の数だけを増やしても、行列と衛生環境の悪化は解消しません。

断水していないことは「流してよい」理由にならない

地震のあとは、断水していなくても排水管や下水設備が損傷している可能性があります。水が出るからという理由だけで流すと、別の階や別の場所で汚水が漏れたり逆流したりするおそれがあります。

施設としては、次の手順をあらかじめ決めておきます。

  1. 使用停止を判断する人を決める発災直後に誰が水洗トイレの使用停止を判断し、誰が周知するのかを決めます。テナントビルの場合は施設管理者の指示系統を確認します。
  2. 掲示物を用意しておく「水洗トイレ使用停止」「非常用トイレの使い方」の掲示を、備蓄とあわせて保管します。発災後に作る余裕はありません。
  3. 再開の判断根拠を決める建物の排水設備の点検結果、建物管理者の案内、自治体の情報など、何をもって再開とするかを事前に定めます。

使用済み袋の一時保管場所を先に確保する

災害時はごみの収集が止まります。使用済みの便袋は、回収が再開するまで施設内で保管することになります。

保管計画の確認事項使用済み便袋の保管量は、1回分の袋の大きさ・重量、凝固後の状態、二重包装や密閉容器の仕様で変わります。45L袋に何回分入るかを一律に決めることはできません。採用予定製品で試験的に使用・梱包し、1日当たりの想定回数から必要な保管袋・密閉容器の数と実際の設置面積を算定してください。保管場所は衛生・換気・動線・回収方法も含めて施設管理者と確認します。

  • 直射日光が当たらず、業務動線と交差しない一時保管場所を決めている
  • 密閉できる保管袋・容器を、便袋とは別に数量で確保している
  • 運搬の担当者と経路を決めている
  • 自治体の災害ごみ・し尿処理の案内を確認する担当を決めている
  • 断水時に手指を清潔に保つ用品を、トイレの使用回数に見合う量だけ用意している

法人の非常用トイレ必要回数・人数別の備蓄量は法人向けの専門記事で詳しく解説しています。必要回数そのものの算定、製品の選び方、臭い対策、処分方法は非常用トイレ完全ガイドで詳しく整理しています。訓練への組み込み方は企業の防災訓練で非常用トイレを使うには?をご覧ください。

保管場所と拠点配置

公的情報ガイドラインは、高層ビルに所在する企業等について、エレベーターが停止した場合に備え、備蓄品の保管場所を分散させることを考慮するよう示しています。また、配布作業の軽減や個人の防災意識向上の視点から、事前に備蓄品を従業員等へ配布しておく方法も検討項目として挙げられています。

あわせて、保管されている備蓄品が避難通路を塞ぐ障害物となったり、スプリンクラー設備の放水ヘッドを塞いだり、感知器が設置免除されているパイプシャフトや機械室を倉庫として使用したりして、消防法令等の違反状態とならないようにすることが求められています。

保管場所を決める前に確認すること

※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。

確認項目 見るポイント 見落とすとどうなるか
容積 収納時の外寸 × 箱数が、実際の棚・倉庫に収まるか 納品後に置き場所がなく、通路や会議室に仮置きが続く
床荷重 水は1Lあたり約1kg。900Lで約900kgになる 一か所に集中させて床荷重の制限を超える
階層分散 エレベーター停止時に各階で取り出せるか 地下倉庫に全量を置き、上層階の従業員に届かない
浸水・転倒 地下・1階の浸水リスク、棚の固定状況 発災時に備蓄そのものが損壊・水没する
避難動線 通路・階段・防火扉を塞いでいないか 消防法令等の違反状態になる
鍵の管理 担当者不在でも開錠できるか 備蓄はあるが夜間・休日に取り出せない
配布動線 誰が、どこから、どの順で配るか 発災後に配布が滞り、備蓄があっても行き渡らない

複数拠点を持つ企業の配分設計は、全社総量を人数比で均等に割るだけでは機能しません。拠点ごとのリスク評価と3層での配分の考え方は事業所が複数ある企業の防災備蓄|拠点別の配分で詳しく扱っています。

管理台帳と更新費用の予算化

備蓄が形骸化する原因の多くは、期限管理ではなく予算化の失敗です。一括購入すると、数年後に更新費用が一度に発生し、その年度の予算で吸収できずに先送りされます。

台帳に入れる項目

品目と数量だけの一覧では、更新計画が立てられません。単価・更新予定・担当者まで含めた形を推奨します。

※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。印刷して回覧用に使えます。

品目・型番 保管拠点・場所 対象人数 数量 購入単価 取得年月 期限・交換目安 更新予定年月/数量 更新予定費用 管理担当
保存水 2L 本社3F 備蓄庫 100名 450本 (仮)150円 2026-04 2031-03 2030-10/450本 (仮)67,500円 総務 ○○
アルファ化米 本社3F・7F 分散 100名 900食 (仮)300円 2026-04 2031-03 2030-10/900食 (仮)270,000円 総務 ○○
非常用トイレ 各階トイレ前収納 100名 1,500回分 (仮)80円 2026-04 製品表示による 製品表示から逆算 (仮)120,000円 施設 △△
毛布・保温シート 本社5F 倉庫 100名 100枚 (仮)700円 2026-04 状態で判断 点検結果で判断 (仮)70,000円 総務 ○○
防災ヘルメット 各席/共有棚 100名 100個 (仮)2,400円 2026-04 製品ごとの交換目安(仮に6年で試算) 仮に2032-03/100個 (仮)240,000円 施設 △△

上の単価はすべて仮の数値です
台帳の記入例として置いたもので、実売価格ではありません。実際の単価は、品目・数量・時期・納品先によって変わります。社内の予算資料に使う場合は、見積書で確定した単価に置き換えてください。 また、交換時期は製品ごとに異なります。台帳のヘルメット6年などは例示用の仮定であり、メーカーの定める交換基準ではありません。

更新費用を年次に均す

仮の前提による試算対象人数100名・3日分を一括購入した場合の初期費用と、耐用年数で割った年平均額の試算です。単価も更新年数の前提も仮置きであり、実際の金額とは異なります。特に毛布10年・ヘルメット6年は予算計算上の仮定であり、製品の一律の交換基準ではありません。実際の更新時期は製品表示・メーカーの指示・点検結果に従ってください。

※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。

品目 数量 仮単価 初期費用 前提年数 年平均額
保存水 2L 450本 150円 67,500円 5年 13,500円
主食 900食 300円 270,000円 5年 54,000円
非常用トイレ 1,500回分 80円 120,000円 15年 8,000円
毛布・保温シート 100枚 700円 70,000円 10年 7,000円
防災ヘルメット 100個 2,400円 240,000円 6年 40,000円
合計 — — 767,500円 — 122,500円

初期費用は約77万円ですが、年次に均せば約12万円です。年平均約12万円は将来の更新に備えて毎年確保する予算の概算であり、毎年その額の支払いが発生する意味ではありません。実際の更新年度と必要額は台帳で別途管理してください。

一括更新を避ける2つの方法

  • 段階購入:原則として最初に必要な備蓄量を確保し、次回以降の更新を複数年度に分けます。初期予算の制約で段階導入せざるを得ない場合は、未充足の数量と解消予定を台帳に明記し、暫定対策を検討してください
  • 期限の分散を意識した発注:同一品目を複数回に分けて発注すると、賞味期限が分かれます。更新作業も分散します。発注時に製造ロットの指定ができるかは、見積時の確認事項です

IPIC SONAE編集部の考え方食品の賞味期限と、ヘルメットなど防災用品の交換目安は、別の基準です。一つの期限欄でまとめて管理すると、どちらかが漏れます。台帳の列を分けるか、品目ごとに判断基準を記載してください。ヘルメットの交換時期と点検項目は防災ヘルメットの耐用年数は何年?で整理しています。

導入フローと発注前チェックリスト

  1. 現状の棚卸し既存の備蓄を、品目・数量・保管場所・期限で洗い出します。期限切れと所在不明をこの時点で確定させます。
  2. 備蓄対象人数の確定拠点ごとの最大同時在館人数、同時来訪者、上乗せ分を積み上げます。二重計上がないかを確認します。
  3. 日数と品目の決定所在地の制度と自社BCPから日数を決め、品目ごとに必要量を算定します。
  4. 不足数の算出必要量から現有数を引きます。これが発注数の根拠になります。
  5. 保管場所の確保発注前に置き場所の寸法を実測します。納品後に探すと仮置きが常態化します。
  6. 見積依頼と社内決裁品目・数量・納品先・希望納期を揃えて依頼します。決裁に必要な書類の様式も先に確認します。
  7. 納品・検品・配置数量と仕様を発注内容と突き合わせ、分散配置の配置図を残します。
  8. 周知と訓練保管場所、配布手順、使用方法を全員に周知します。訓練で実際に取り出してみます。
  9. 台帳整備と点検日の設定単価・更新予定・担当者まで記録し、次回点検日を決めます。

発注前チェックリスト

  • 拠点ごとの最大同時在館人数を出し、在籍人数と足し合わせていない
  • 委託業者・常駐スタッフを二重計上していない
  • 同時来訪者の想定を、実績のピークから置いている
  • 上乗せ分の目的(来訪者変動/外部受入れ/破損対応)を決めている
  • 所在地の自治体の条例・要綱を確認した
  • 品目ごとの日数を決め、全品目一律にしていない
  • 配慮が必要な従業員の用品を、任意申告の形で確認している
  • 非常用トイレの必要回数に対して、使える個室数が足りるか確認した
  • 使用済み袋の一時保管場所と容積を確保した
  • 保管場所の寸法と床荷重を実測した
  • 避難通路・消防設備を塞がない配置になっている
  • 階層分散と鍵の管理方法を決めた
  • 管理台帳に単価・更新予定年月・更新予定費用・担当者を入れた
  • 更新費用を年次に均した金額を算出した
  • 社内決裁に必要な書類の様式を確認した

相談・見積依頼の前に整理すること

以下が揃っていると、具体的な数量と納期でご案内できます。未定の項目があっても構いません。「未定」のまま送っていただいて差し支えありません。

備蓄の相談・見積依頼に必要な項目

■ 対象人数:  名(拠点別:  拠点  名/  拠点  名)

■ 人数の内訳:最大同時在館  名/同時来訪者  名/上乗せ  名

■ 想定日数:3日分/3日分+α/7日分/未定

■ 希望品目:飲料水/主食/非常用トイレ/衛生用品/照明・電池/毛布・保温シート/ヘルメット/その他(  )

■ 概算数量:品目ごとに記入(未算定の場合は「要算定」と記入)

■ 納品先:  拠点(分納の希望:有・無)

■ 希望納期:  年  月  日まで(使用予定:訓練/年度初め/その他)

■ 保管場所の制約:有・無(有の場合:  )

■ 確認したい事項:(例)数量による条件、送料、支払方法、見積書の宛名、納品書の様式

■ ご担当者:会社名/部署/お名前/ご連絡先

最小ロット、数量による価格の扱い、送料の条件、複数拠点への分納、支払方法、名入れの可否は、品目・数量・時期によって異なります。事前に確定した条件としてではなく、見積依頼時の確認項目として扱ってください。

備蓄の品目・数量について相談する

対象人数や施設の条件をお伝えいただければ、当店取扱商品の品目と数量についてご相談いただけます。数量が未算定の段階でも承ります。

企業・自治体・学校・施設のご担当者さまからのお問い合わせを受け付けています。

備蓄の品目・数量を相談する

IPIC SONAEで対応できること

以下は2026年10月時点の掲載情報です。価格・仕様・セット内容は変更されることがあるため、発注前に各商品ページでご確認ください。

非常用簡易トイレ「トイレのミカタ」

便袋と凝固剤を使うタイプで、120回分と60回分があります。120回分は排泄袋120枚と処理袋12枚、60回分は排泄袋60枚と処理袋6枚。凝固剤は1回あたり7gで、素材は高分子吸水ポリマーです。排泄袋は約650×500mm。

対象人数100名・3日分なら1,500回分が必要になるため、120回分を13セット以上といった規模の発注になります。保管容積は箱サイズ(120回分:24.2×21.3×18.2cm)から逆算してください。商品ページを見る/非常用トイレ一覧

非常食セット

「アルファ米・リゾット・おこげ 26種 8日分 バラエティセット」は26食入りで、賞味期限は品目により製造から5年または7年です。26食は1人1日3食で約8日分にあたる量で、複数名分ではありません。法人で使う場合は、対象人数×3食×日数で必要食数を出してから、セット数を計算してください。商品ページを見る/非常用食品一覧

防災ヘルメット・そのほかの備蓄用品

通常型の防災用軽量ヘルメットと折りたたみ型のオサメットを取り扱っています。数量算定、サイズ構成、色分け、名入れの進め方は法人向け防災ヘルメットの選び方で詳しく整理しています。このほか、備蓄用トイレットペーパー、防災ライト、衛生用品、携帯浄水器をご用意しています。

飲料水のように数量が大きく、保管容積を占める品目は、拠点ごとの保管場所の制約とあわせて数量を決める必要があります。品目を絞って一部だけご相談いただく形でも構いません。

まとめ注文・お見積もりを依頼する

当店取扱商品の品目・数量・納品先・希望納期をお知らせください。前章の整理項目をそのままお送りいただいても差し支えありません。

数量・納期が未確定の段階でのご相談も承っています。

まとめ注文・見積もりを依頼する

よくある質問

Q. 企業の防災備蓄は何日分必要ですか?

首都直下地震を想定した国のガイドラインは、備蓄量の目安を3日分としています。発災後72時間が人命救助に重要な期間であり、従業員等の一斉帰宅が救助・救出活動の妨げとならないようにするためです。同ガイドラインは、震災の影響の長期化に備えて3日分以上の備蓄を検討することにも触れています。所在地の自治体の制度と自社のBCPを確認したうえで日数を決めてください。

Q. 企業に防災備蓄の法的な義務はありますか?

全国一律に義務づける法令は確認できません。東京都帰宅困難者対策条例は、従業者の施設内待機を維持するための3日分の備蓄を努力義務として定めています(第7条第2項)。罰則を伴う義務規定ではありません。条例・要綱の有無と内容は自治体によって異なるため、各拠点の所在地で確認してください。

Q. 在籍従業員数で計算してよいですか?

在籍人数は重要な確認項目ですが、それだけで確定しない方が適切です。外回り・在宅勤務・シフトの状況によって、同時在館人数は変わります。東京都のハンドブックも、発災時およびその直後に職場にいるであろう従業者が3日間待機できる量を備えてほしいという趣旨を説明しています。拠点ごとの最大同時在館人数を起点にし、同時来訪者を別枠で加えてください。在籍120名でも、最大同時在館85名・同時来訪者8名なら、出発点は93名です。

Q. 来訪者の分はどのくらい必要ですか?

来訪者数の実績ピークから人数で置いてください。これとは別に、国のガイドラインは、共助の観点から外部の帰宅困難者のために10%程度を余分に備蓄することも検討していく、としています。これは検討項目であり、一律の義務ではありません。自社が外部の帰宅困難者を受け入れる方針かどうかで扱いが変わります。

Q. 非常用トイレは何回分そろえればよいですか?

経済産業省は成人の平均排泄回数を1日5回としています。対象人数×5回×日数が算定の基本で、100名・3日分なら1,500回分です。ただし回数を満たしても、使える個室数が足りなければ運用が回りません。使用済み袋の一時保管場所もあわせて確保してください。回数の詳しい考え方と製品の選び方は非常用トイレ完全ガイドをご覧ください。

Q. 水と食料はどこに置けばよいですか?

一か所にまとめず、階層ごとに分散させてください。国のガイドラインは、高層ビルではエレベーター停止に備えて保管場所を分散させることを考慮するよう示しています。あわせて、備蓄品が避難通路を塞いだり、スプリンクラー設備の放水ヘッドを塞いだりして消防法令等の違反状態とならないよう注意が必要です。水は1Lあたり約1kgになるため、床荷重も確認してください。

Q. 賞味期限の管理と更新費用はどう計画すればよいですか?

台帳に、品目・数量・保管場所・単価・期限・更新予定年月・更新予定数量・更新予定費用・担当者を記録してください。一括購入すると数年後に更新費用が一度に発生します。耐用年数で割った年平均額を出しておくと、毎年の予算として申請できます。発注を複数回に分けると期限が分散し、更新作業も平準化できます。

Q. 複数拠点への分納はできますか?

分納の可否と条件は、品目・数量・納品先・時期によって異なります。お見積もりのご相談時に、拠点数と各拠点の数量をお知らせください。拠点ごとの配分の考え方は事業所が複数ある企業の防災備蓄で整理しています。

まとめ

企業の防災備蓄で最初に決めるのは、品目ではなく対象人数です。在籍人数と拠点ごとの最大同時在館人数を照合し、同時来訪者を加えて二重計上を除いた人数です。ここが固まれば、水・主食・毛布は公的な原単位を掛けるだけで数量が出ます。

次が日数です。国のガイドラインの3日分を全拠点で満たし、条件の厳しい拠点だけ上積みする。品目によって日数を変えても構いません。

そして運用です。トイレは回数だけでなく個室数と使用済み袋の保管場所まで。保管は階層分散と避難通路の確保まで。台帳は単価と更新予定費用まで。ここまで決めて、備蓄は災害時に機能する仕組みになります。

まずは現状の棚卸しと、拠点ごとの最大同時在館人数の確認から始めてください。防災を、『じぶんゴト』に。

執筆・監修|防災士 山根

アイピック株式会社所属。2024年に防災士資格を取得。IPIC SONAEで展開してきた製品の開発に携わり、商品開発で得た実務的な知見と防災士としての知識をもとに、防災情報を執筆・監修しています。

防災士 山根のプロフィールを見る

参考情報

コラム一覧に戻る
RuffRuff Apps RuffRuff Apps by Tsun