車中泊避難のトイレ対策|災害時に困らないための準備と注意点

車中泊避難に備える非常用トイレ「トイレのミカタ」と車内で使えるダンボールトイレのイメージ

大きな地震や台風で自宅を離れることになったとき、避難所ではなく「車の中で過ごす」という選択をする方が増えています。プライバシーを保ちやすく、ペットと一緒にいられることが主な理由です。

ただ、車中泊避難で多くの人がつまずくのが「トイレ」です。この記事では、公的機関の情報をもとに、車内で安全・衛生的に排泄を済ませる方法と、備えておきたい数量を分かりやすく解説します。今日からできる備えまで持ち帰っていただければ幸いです。

結論:車中泊では「トイレを使える場所」と「使用後の管理」まで決めておく

先に結論からお伝えします。車中泊避難のトイレ対策は、携帯トイレ・簡易トイレ等を必要回数分備え、どこで使用し、使用済み便袋をどう管理するかまで決めておくことが最も確実です。

理由はシンプルです。災害時は断水や停電で水洗トイレが使えず、避難所のトイレも数が足りずに行列になりがちだからです。車内でその場ですぐに使え、臭いも抑えられる備えがあれば、夜間や渋滞中でも困りません。

非常用トイレの基本をまだ確認していない方は、先に非常用トイレの選び方・使い方まとめに目を通しておくと、この記事の内容がより分かりやすくなります。

内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(令和6年12月改定)」は、トイレの使用がためらわれると排泄を我慢し、水分や食事を控えることにつながり、脱水や静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)などの健康障害を招くおそれがあると指摘しています。トイレの備えは、健康を守る備えでもあります。

車中泊避難とは?避難所との違いとメリット・デメリット

車中泊避難とは、自宅や避難所ではなく、自家用車の中で寝泊まりしながら避難生活を送ることです。近年の災害では、多くの方がこの方法を選んでいます。

なぜ車中泊を選ぶ人がいるのか

避難所は多くの人が集まるため、プライバシーの確保や感染症への不安、ペットの同伴のしづらさが課題になります。その点、車内なら家族単位で過ごせ、周囲に気兼ねせず、必要に応じて移動もできます。避難所が満員で入れないケースもあります。

避難所と比べたメリット・デメリット

車中泊避難には、次のような長所と短所があります。どちらが良い・悪いではなく、状況に応じて使い分ける視点が大切です。

  • メリット:プライバシーを確保しやすい/ペットと一緒に過ごせる/周囲に気を使いにくい/状況に応じて移動できる
  • デメリット:空間が狭く同じ姿勢になりやすい/トイレ・入浴・情報が届きにくい/夏の暑さ・冬の寒さの影響を受けやすい

自宅にとどまる在宅避難という選択肢もあります。あわせて在宅避難のトイレ対策も確認しておくと、ご家庭に合った備えが見えてきます。

車中泊ではトイレを事前に確保する

車中泊避難でも、排泄環境を継続して確保する必要があります。食料や水は事前にイメージしやすい一方、排泄の備えは見落とされがちです。

こんな場面でトイレに困る

車中泊では、次のような場面でトイレの確保が難しくなります。

  • 夜間:あたりが暗く、トイレまで歩くこと自体が不安・危険になりやすい
  • 渋滞・移動中:すぐにトイレへ立ち寄れず、我慢を強いられる
  • 避難所トイレの混雑:数が足りず行列になり、使えるまで時間がかかる
  • 女性:安全面やプライバシーの不安から、使用を我慢しがち
  • 子ども・高齢者:急な尿意や夜間の移動が負担になりやすい
  • ペット同伴:避難所のトイレへ行きづらく、車から離れにくい

災害時に多くの人が実際に困ったことは、災害時の困りごとランキングでも詳しく紹介しています。

車中泊を続けてよい場所・環境かを先に確認する

トイレを準備する前に、車中泊そのものを安全に続けられる場所か確認してください。内閣府は、豪雨時の車移動は危険であり、やむを得ず車中泊をする場合は浸水しないよう周囲の状況を十分確認すること、車中泊スペースはできるだけ照明があり、日陰や風通しのよい場所を確保することなどを示しています。

また、車中泊者が物資配布・健康相談などの支援から外れないよう、自治体や避難所の受付・車中泊スペースの案内を確認することも重要です。

車は「どこでも避難所」ではありません。
浸水、土砂災害、暑熱、寒冷、夜間の安全などに問題がある場合は、自治体が案内する安全な避難先へ移動してください。

車中泊で使える非常用トイレとは

車中泊では、携帯トイレや簡易トイレなどが選択肢になります。製品によって便袋、凝固剤、簡易便座等の構成や使用方法が異なるため、使用する場所と姿勢に合うものを確認してください。

車中泊用に確認したいポイント

車という限られた空間では、凝固剤式ならではの利点が活きます。

  • 水がいらない:断水中でもそのまま使える
  • 車内で使える:便器がなくても、簡易便座やダンボール便器と組み合わせて使用できる
  • コンパクト:車のトランクや座席下にも収納しやすい
  • 臭いを抑えやすい:排泄物を固めることで、においや漏れを軽減できる
  • 処理しやすい:使用後は袋の口を縛って、燃えるゴミとしてまとめられる

凝固剤の仕組みは非常用トイレの凝固剤とはで、種類ごとの違いは非常用トイレの種類で解説しています。選び方に迷う場合は非常用トイレの選び方もあわせてご覧ください。

車内で使うときの5つのポイント

非常用トイレを備えても、車内でどう使うかを知らないと、いざというとき戸惑います。次の5点を押さえておきましょう。

1. 使用場所を決めておく

特定の座席やラゲッジスペースがすべての車で安全とは限りません。車種、乗員、簡易便座等のサイズを確認し、転倒や外部からの視線を避けられる場所を事前に検討してください。安全な姿勢を確保できない場合は、避難場所のトイレ等を利用します。

2. プライバシーを確保する

窓にサンシェードや目隠しを取り付け、外から見えないようにします。着替え用のポンチョを頭からかぶれば、車内でも手元を隠せます。夜間は車内灯を最小限にすると、外からの視線を抑えられます。

3. 換気をする

使用時は窓を少し開けて空気を入れ替えます。防犯や虫の侵入が気になる場合は、網戸カーテンを併用すると快適です。

4. 臭い対策をする

使用後は製品の説明に従って便袋を密閉し、処理袋等へまとめます。追加で防臭袋等を使う場合は、その製品の性能表示・使用方法を確認してください。詳しくは非常用トイレの臭い対策で紹介しています。

5. ゴミの保管方法を決めておく

使用済み便袋の分別・回収方法は自治体によって異なります。回収方法が確認できるまでは、袋が破損しにくく周囲の衛生や安全に配慮できる場所で一時保管します。トランク等を一律の保管場所として推奨せず、車内温度も考慮してください。使い方の流れは非常用トイレの使い方、捨て方は非常用トイレの処分方法で詳しく解説しています。

車中泊避難で備えておきたい防災用品

トイレ対策を中心に、車中泊避難であると安心な防災用品をまとめました。すべてを一度にそろえる必要はありません。まずはトイレまわりから見直してみましょう。

アイテム 役割・ポイント
非常用トイレ(凝固剤式) 排泄の要。人数×日数分を用意する
防臭袋 使用済み袋を二重にして臭いを抑える
ウェットティッシュ 断水時の手指や体の清潔を保つ
トイレットペーパー 芯を抜いて潰すと省スペースで収納できる
消臭剤 狭い車内のにおいこもりを軽減する
ポンチョ・サンシェード 着替えや排泄時のプライバシーを確保する
LEDライト 夜間の車内や手元を照らす
飲料水 水分補給に必須。我慢せず飲めるよう十分に
モバイルバッテリー 情報収集と連絡手段を保つ

家族人数別の必要回数(早見表)

トイレの必要回数は、1人1日あたり約5回を目安に計算すると分かりやすくなります。経済産業省は成人の平均排泄回数を1日5回とし、1人35回分/週を案内しています。

家族人数 3日分の目安 7日分の目安
1人 15回分 35回分
2人 30回分 70回分
3人 45回分 105回分
4人 60回分 140回分

※1人1日5回で計算した目安です。体調や年齢によって回数は変わります。必要数の考え方は非常用トイレは何回分必要かでも詳しく解説しています。

車中泊避難で注意したい健康リスク

車中泊避難では、トイレだけでなく健康面への配慮も欠かせません。特に知っておきたいのが「エコノミークラス症候群」です。

エコノミークラス症候群に注意する

厚生労働省は、食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座って足を動かさないと、血行不良から血の固まり(血栓)ができ、肺の血管を詰まらせる恐れがあると注意を呼びかけています。予防のポイントは次のとおりです。

  • こまめに水分を取る
  • ときどき軽い体操や、かかとの上げ下ろし運動をする
  • ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
  • 眠るときは足をあげる

トイレを我慢しないことが健康を守る

ここで大切なのが、トイレとの関係です。車中泊ではトイレが不便なため、水分を控えてしまいがちです。しかし水分不足は、エコノミークラス症候群のリスクを高めてしまいます。

トイレを理由に飲水を極端に控えないことが重要です。トイレの備えは、水分補給をためらわない環境づくりの一要素になります。トイレ我慢の健康リスクは災害時にトイレを我慢するとどうなるかで詳しく解説しています。

就寝時のエンジン・エアコンの使用に注意
内閣府は、夜間等に寝るときはエンジン・エアコンをつけたままにすることを避けるよう示しています。積雪時などは一酸化炭素中毒にも注意し、自治体・消防等の注意情報を確認してください。

夏の暑さ・冬の寒さにも備える

内閣府は、車中泊スペースについてできるだけ日陰や風通しのよい場所を確保することなどを示しています。暑熱・寒冷環境では、車内にとどまり続けること自体が安全かを判断し、自治体の避難先・支援情報も確認してください。

車中泊避難のトイレ、まず一つ備えてみませんか

IPIC SONAE「トイレのミカタ」は、公式商品ページで医師・防災士監修、消臭・抗菌機能付きとして案内しています。凝固剤・排泄袋・処理袋がセットになっています。車内へ常備する場合は、製品の保管条件と車内環境が合うか確認してください。

トイレのミカタを見る

よくある質問

Q. 車中泊で非常用トイレは本当に使えますか?

車内で使用できるかは、車種、乗員、使用する便座・トイレ製品、安全な姿勢を確保できるかによって異なります。車内で安全に使用できない場合は、避難場所等のトイレを利用してください。

Q. 車内で臭いは気になりませんか?

凝固剤が排泄物を固めることで、においや漏れを軽減できます。使用後すぐに袋の口を縛り、防臭袋で二重にし、消臭剤を併用すると、狭い車内でも気になりにくくなります。

Q. 使用後はどこに捨てればいいですか?

分別・回収方法は自治体によって異なります。回収方法が確認できるまで適切に一時保管し、自治体の最新案内に従ってください。

Q. 女性や子どもでも使いやすいですか?

年齢や性別だけで使いやすさは判断できません。本人が安全な姿勢を取れるか、プライバシーを確保できるか、必要な介助ができるかを事前に確認してください。

Q. 何回分を備えておけば安心ですか?

経済産業省は成人1日5回、1人35回分/週を案内しています。4人で7日分なら計算上140回分です。

Q. ペットの排泄処理にも使えますか?

ペットへの使用可否は、凝固剤・袋など各製品のメーカー情報を確認してください。人用製品をペットにも使えると一律には判断できません。

まとめ

車中泊避難では、食料や水と同じくらい「トイレの備え」が大切です。必要回数の携帯トイレ・簡易トイレ等を備えるだけでなく、使用場所、プライバシー、使用済み便袋の一時保管まで決めておくことが重要です。

そして、安心して使えるトイレがあることは、水分補給を我慢しない環境をつくり、エコノミークラス症候群などの健康リスクから家族を守ることにもつながります。

防災は、災害が起きてから始めるものではありません。今日、車中泊を想定したトイレの使用場所と備蓄方法を確認すること。その小さな一歩が、もしもの安心につながります。IPIC SONAEは「防災を、『じぶんゴト』に。」を掲げ、日々の備えに役立つ情報を発信しています。

AUTHOR / SUPERVISOR

執筆・監修|防災士 山根

アイピック株式会社所属。2024年に防災士資格を取得。IPIC SONAEで展開してきた製品の開発にチームの一員として携わり、商品開発で得た実務的な知見と防災士としての知識をもとに、防災情報を執筆・監修しています。

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参考情報

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