非常用トイレの種類は4つ|凝固剤式・携帯・組み立て式の違いを比較

凝固剤式・簡易トイレ・携帯トイレの違いを用途別に比較した非常用トイレの種類比較イメージ

「携帯トイレ」「簡易トイレ」「組み立て式トイレ」「ポータブルトイレ」など、災害用トイレには似た名称が多くあります。さらに、市販の商品名と公的資料の分類が必ずしも同じとは限らないため、名前だけで選ぶと違いが分かりにくくなります。

この記事では、内閣府や経済産業省の分類を確認しながら、家庭で検討することが多いタイプを中心に、「既存の便器を使うのか」「便座そのものを用意するのか」という視点で整理します。必要数・選び方・使い方まで含めた全体像は、非常用トイレ完全ガイドをご覧ください。

結論:名称より「設置方法・処理方法」で種類を見分ける

内閣府は災害用トイレを、携帯トイレ・簡易トイレ・仮設トイレ・マンホールトイレなどに整理しています。家庭で選ぶときは、名称だけでなく、既存の便器へ設置するのか、便座そのものを用意するのか、排泄物をどう処理するのかを確認すると違いが分かりやすくなります。

この記事の要点は次の3つです。

  • 種類の違いは「どう設置し、どう処理するか」で見る:既存便器へ便袋を設置するのか、便座を別に用意するのかを確認します。
  • 家庭では携帯トイレを備蓄しやすい:経済産業省は、断水や排水不可となった洋式便座等へ設置する便袋を「携帯トイレ」として紹介しています。凝固剤を使う製品もこの中に含まれます。
  • 数の目安は「1日5回 × 人数 × 日数」:経済産業省は1人あたり35回分(7日分)の備蓄を推奨しています。

数の考え方をもっと詳しく知りたい方へ
必要回数の計算方法や家族人数別の早見表は、非常用トイレの完全ガイドで解説しています。種類を確認した後に、必要回数もあわせて計算してください。

公的資料ではどう分類されている?災害用トイレの主な種類

内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」では、災害用トイレについて、携帯トイレ・簡易トイレ・仮設トイレ・マンホールトイレなど、それぞれ異なる特徴を持つ設備・製品が整理されています。

種類 基本的な考え方 家庭での確認ポイント
携帯トイレ 既存の洋式便器等に便袋を設置し、吸水シートや凝固剤等で排泄物を安定化させる方式 便器を安全に使用できるか、必要回数、便袋・処理材、使用後の保管・回収
簡易トイレ ポータブルトイレ、組立式便器など。製品によってし尿処理方式、水・電気の要否が異なる 本人が安全に座れるか、設置場所、処理方式、製品の使用条件
仮設トイレ 避難所等へ設置する独立したトイレ設備 主に避難所等のトイレ確保で用いられる
マンホールトイレ マンホール上へ便器や仕切りを設置して使用する方式 自治体・施設側の整備状況や使用開始の案内を確認する

「凝固剤式」は独立した公的分類名ではありません。
既存便器へ便袋を設置して凝固剤を使う製品は、携帯トイレの方式の一つとして考えると整理しやすくなります。

便袋+凝固剤を使う携帯トイレとは

家庭備蓄でよく見られるのが、既存の洋式便器へ便袋を設置し、凝固剤で排泄物を処理する方式です。内閣府の分類では、携帯トイレの一方式として整理できます。

使用方法は製品ごとに確認する

便袋の設置方法や凝固剤を入れるタイミングは製品によって異なります。「排泄前」「排泄後」と一律に決めず、必ず使用する製品の説明書に従ってください。

  • 既存便器を安全に使えるか
  • 吸水量・凝固性能と確認できる試験条件
  • 便袋・凝固剤・処理袋等のセット内容
  • 消臭・抗菌をうたう場合の対象・試験情報
  • 使用後の密閉・一時保管・自治体の回収方法

具体的な使用方法は非常用トイレの使い方、凝固剤については非常用トイレの凝固剤とは?で詳しく解説しています。

凝固剤を便器・排水口へ直接流さない
凝固剤は製品の使用方法に従い、便袋内で使用してください。使用後の便袋もトイレへ流さず、自治体の案内に従って処理します。

「携帯トイレ=持ち歩き専用」ではない

「携帯」という言葉から、車・アウトドア用の小型トイレだけを想像しやすいですが、公的資料でいう携帯トイレは、既存の洋式便器へ便袋を設置する方式を含みます。

市販品には、1回分ずつ携行しやすい製品も、家庭備蓄向けの大容量セットもあります。したがって、携帯トイレを「持ち出し用」、凝固剤式を「自宅用」と分けることはできません。

用途は商品名ではなく仕様から判断
車載・持ち出し用なら携行性と保管条件、家庭備蓄なら必要回数・収納性・使用後の管理方法を確認します。

組み立て式・ポータブル型などの簡易トイレ

簡易トイレには、組立式便器やポータブルトイレなどがあります。既存の便器を使用できない場合や、本人の身体状況から独立した便座が必要な場合に選択肢になります。

組み立て式

ダンボールや樹脂等の便座本体を組み立てて使用する製品があります。排泄物の処理方式は製品によって異なるため、便袋・凝固剤等が別途必要か、セットに含まれているかを確認してください。

ポータブルトイレ

介護・福祉用途で使用される製品が多く、内閣府のガイドラインでも簡易トイレの例として扱われています。水なしで使えるものや電気を必要とするものなど方式が異なるため、災害時の使用条件を製品ごとに確認します。

詳しくは携帯・ポータブル・非常用トイレの違いをご覧ください。

IPIC SONAEの非常用組み立て式ダンボールトイレは、組立時ヨコ32×タテ31×奥行34.5cm、体重100kgまでの方に使用できる日本製です。使用時は製品の注意事項に従ってください。

家庭ではどう選ぶ?使用環境から判断する

「どの種類が一番おすすめか」ではなく、災害時にどの設備を使えるか、誰が使うかから判断します。

状況 検討する方式 確認ポイント
既存の洋式便器を安全に使える 携帯トイレ 必要回数、便袋・処理材、使用後の管理
便器が破損・使用できない 組立式等の簡易トイレ 便座の安定性、設置場所、排泄物の処理方式
普段から介助・ポータブルトイレを利用 本人に合うポータブルトイレ等 普段の排泄姿勢・介助方法を維持できるか
車載・持ち出し 携行しやすい携帯トイレ等 保管条件、使用場所、姿勢、プライバシー

家庭備蓄では「必要回数」と「便器が使えない場合」の両方を考える

家庭では、既存の洋式便器を使用できる場合に備えて携帯トイレを必要回数分用意する方法があります。経済産業省は成人の平均排泄回数を1日5回とし、1人35回分/週を案内しています。

一方、便器そのものが破損した場合や、身体状況によって独立した便座が必要な場合もあります。家庭の状況に応じて、組立式・ポータブル型などの簡易トイレも検討してください。

備蓄は便袋の回数だけでは完結しません。
使用場所、便座、プライバシー、照明、使用済み便袋の一時保管、自治体の回収方法まで確認しておくと、実際に使える備えになります。

ご家庭のトイレ備蓄を確認する

IPIC SONAE「トイレのミカタ」は、既存の洋式便器へ排泄袋を設置し、凝固剤を使用する方式です。

非常用簡易トイレ トイレのミカタを見る

非常用トイレを選ぶ7つのポイント

種類が決まったら、次は個別の製品を比べる段階です。次の7点を確認すると、判断がぶれません。

確認項目 見るべきポイント
保存期間 製品ごとに異なります。パッケージや商品ページの記載を確認し、購入日を書いて保管すると管理が楽になります
凝固剤の量と性能 グラム数だけで判断せず、吸水量・凝固性能と確認できる試験条件を見る
防臭性能 消臭・防臭機能の表示、対象、確認できる試験情報を見る
抗菌への配慮 抗菌機能をうたう場合は、対象や確認できる試験情報を見る
袋のサイズ 便器にかぶせて余裕があるか、口を結びやすい大きさか。小さすぎる袋は扱いにくくなります
回数 「1日5回 × 人数 × 日数」で計算。経済産業省は1人あたり35回分(7日分)を推奨しています
人数・保管場所 必要量を保管でき、メーカー指定の保管条件を守れる場所か確認する

選び方の詳細は非常用トイレの選び方、保存期間の考え方は非常用トイレの保存期間で解説しています。

備えがないと、どうなるのか
災害時の困りごととして、トイレは常に上位に挙がります。災害時に困ったことランキングや、非常用トイレを備蓄していないとどうなるかもあわせてご覧ください。また、水分や食事を控えて排泄を我慢することは体への負担につながると、専門機関からも注意が呼びかけられています(災害時にトイレを我慢するリスク)。

今日からできる備え

すべてを一度に揃える必要はありません。次の5つから始めてみてください。

  • いま家にある回数を数える:まずは現状把握から。現在の備蓄数を確認する
  • 必要回数を計算する:1日5回 × 家族の人数 × 日数。公的な目安と地域の被害想定を確認して必要日数を決める
  • 保管場所を分散させる:保管条件と災害時の取り出しやすさを考えて配置する
  • 家族に置き場所を伝える:本人がいないときに使えなければ、備えは機能しません
  • 一度、開けて試してみる:1回分だけでも手順を確認しておくと、いざというときに迷いません

よくある質問

Q. 携帯トイレと非常用トイレは同じものですか?

「非常用トイレ」は市場で幅広く使われる呼び方です。公的資料では携帯トイレ・簡易トイレなど方式ごとに整理されています。

Q. 凝固剤式は携帯トイレですか?

既存の洋式便器へ便袋を設置し、凝固剤で排泄物を安定化させる方式であれば、携帯トイレの一方式として整理できます。

Q. 組み立て式だけで使えますか?

製品によります。便袋・凝固剤等が必要な製品も、処理材がセットになった製品もあります。

Q. 何回分を備蓄すればよいですか?

経済産業省は成人1日5回、1人35回分/週を案内しています。家族人数と備蓄日数から計算してください。

Q. 車にはどの種類が向いていますか?

車種・乗員・使用場所によって異なります。携行性だけでなく、安全な姿勢、プライバシー、車内温度と製品の保管条件、使用済み便袋の管理まで確認してください。

まとめ|名称ではなく、使う場所と仕組みで選ぶ

災害用トイレには、既存便器へ便袋を設置する携帯トイレ、便座を確保する簡易・組み立て式、介護等でも使われるポータブルトイレなどがあります。自治体・避難所では仮設トイレやマンホールトイレなども活用されます。

家庭では、まず「既存の便器を安全に使える場合」と「便器自体を使えない場合」を分けて考えると整理しやすくなります。そのうえで、家族に必要な回数、便袋・凝固剤等の仕様、使用後の保管・処分まで確認してください。

個別商品の比較は非常用トイレの選び方、必要回数は非常用トイレは何回分必要?で詳しく解説しています。

AUTHOR / SUPERVISOR

執筆・監修|防災士 山根

アイピック株式会社所属。2024年に防災士資格を取得。IPIC SONAEで展開してきた製品の開発にチームの一員として携わり、商品開発で得た実務的な知見と防災士としての知識をもとに、防災情報を執筆・監修しています。

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