高齢者の防災リュックに必要なもの|薬・眼鏡・補聴器などの備え

高齢者の防災リュックに必要な薬・眼鏡・補聴器などの備え

高齢の家族や自分自身の防災リュックを考えるとき、「高齢者向け防災グッズ」の一覧を見て迷う方は少なくありません。杖、老眼鏡、補聴器の電池、入れ歯ケース……。けれど、それを全部入れる必要があるのでしょうか。

年齢が同じでも、体力や健康状態、日常的に使っている用品は人によって異なります。必要なものを決めるのは年齢ではなく、その人がふだんどう暮らしているかです。この記事では、一般的な防災用品を土台に、薬・眼鏡・補聴器など「その人の日常に欠かせないもの」をどう組み込むかを整理します。公的機関の情報で確認できることと、IPIC SONAE編集部としての提案は分けて示します。

この記事の結論

  • 高齢者の防災リュックは、誰にでも共通する防災用品を土台に、本人の日常に欠かせない用品と情報を加える形で考えます
  • 薬・眼鏡・補聴器・入れ歯・杖などは、全員に必要なものではありません。朝起きてから寝るまでの日常をたどり、ふだん使っているものを洗い出します
  • 薬の量や保管方法は薬ごとに異なります。持ち出す量は自己判断で決めず、医師や薬剤師に相談します
  • 物だけでなく、薬の名前や補聴器の電源など「情報・電源・保管」まで確認しておくと、いざというときに使える備えになります
  • 本人が安全に持てる範囲を確かめ、家族や支援者とどう分担するかを決めます。一人暮らしの場合は、自分から助けを求める手段を用意しておきます

年齢ではなく「本人の日常」で決める

水や食料、ライト、ラジオ、携帯トイレといった基本の用品は、年齢に関係なく誰にでも必要です。高齢者の防災リュックで考えたいのは、その上に本人の日常に欠かせないものをどう重ねるかです。

年齢から「目が悪いはず」「一人では避難できないはず」と決めつけると、実際には不要なものを詰め込んだり、本当に必要なものが抜けたりします。見るべきなのは、その人がふだん何を使い、何に助けを借りて暮らしているかです。

基本の用品は防災リュックに最低限必要なもので整理しています。この記事では、その上に重ねる「本人固有の用品と情報」に集中します。

朝から夜までの日常を棚卸しする

本人固有の用品を漏れなく洗い出すには、一覧を見るより、1日の生活をたどるほうが確実です。本人と一緒に、あるいは家族が本人に聞きながら、次の場面ごとに「何を使っているか」を書き出してみてください。

起きたとき
眼鏡をかける、補聴器をつける、入れ歯を入れる、杖を持つ枕元に置いているものは、夜間の避難でも手に取れる位置にあるか
朝食・服薬
飲んでいる薬、食事で気をつけていること、口のケア用品食べやすさの配慮や、食事制限があるかも確認
外出・移動
杖や歩行補助具、履き慣れた靴、外出時に持つもの階段や段差をどう移動しているか
日中
昼の薬、読むための眼鏡、連絡に使う電話やメモ聞こえにくさを補う道具や、筆談の習慣があるか
夜・就寝前
夜の薬、入れ歯を外して保管する容器、補聴器の充電や電池交換夜間のトイレ移動で使っているもの
定期的に
通院、介護サービス、医療機器や衛生用品の交換かかりつけ医、ケアマネジャーなど、関わっている人の連絡先

書き出したものが「本人固有の用品」の候補です

ここで挙がったものには、一般的な防災セットだけでは本人に合う種類・仕様までカバーしにくいものがあります。書き出したものすべてをリュックに入れるのではなく、次の章の優先度で、何をどこに備えるかを決めていきます。

商品開発の現場から

IPIC SONAEの防災セットの中身を検討するときも、共通して役立つ用品と、人によって種類や量が違う用品は分けて考えてきました。薬、眼鏡、補聴器、入れ歯のように本人ごとに必要性や仕様が異なるものは、一般的なセットでは一人ひとりに合う内容をあらかじめ決めにくい領域です。日常の棚卸しは、その「セットだけでは決めにくい部分」を見つけるための作業です。

何を優先して入れるか|代替しにくさ×すぐ必要になるか

棚卸しで挙がったものを全部リュックに入れると、重くなりすぎることがあります。そこで「ほかの物で代わりがききにくいか」と「避難してすぐ必要になるか」の二つで並べます。

縦軸:代替しにくさ/横軸:避難してすぐ必要になる可能性

代わりがない×すぐ必要

最優先で手元に

ふだん使う眼鏡、補聴器、入れ歯、常用薬とその情報、使い慣れた杖など

代わりがない×少し後で必要

持ち方を決めて備える

補聴器の予備電池や充電器、眼鏡の予備、医師・薬剤師と確認した持ち出し用の薬など。本人・家族・支援者の誰が管理するかを決める

代わりがある×すぐ必要

基本用品で補う

ライト、ホイッスル、飲み物など。防災セットや家族の荷物と重複しないよう調整

代わりがある×少し後で必要

家庭備蓄へ

口のケア用品の予備、衛生用品のまとめ買い分など

同じ眼鏡でも、ふだんかけていない人にとっては不要です。マトリクスに入れるのは、棚卸しで実際に挙がったものだけにしてください。

常用薬とお薬の情報|量は自己判断で決めない

常用薬は、多くの方にとって代わりがきかないものの代表です。一方で、「何日分をリュックに入れるべきか」は、薬の種類や処方のされ方、保管の条件によって違います。一律の日数を当てはめたり、自己判断で薬を移し替えたり、分けたりするのは避けてください。

公的機関で確認できること

厚生労働省は令和6年能登半島地震の際、医師の受診や処方箋の交付が難しい被災地の患者に、薬局が必要な処方箋医薬品を渡せる取扱いを示しました。その際、薬剤服用歴、お薬手帳、マイナンバーカードなどを活用して服薬情報を確認するよう努めることも求めています。

これは災害ごとに示される取扱いで、いつでも同じ対応があるとは限りません。ただ、ここから分かるのは、「どの薬を、どう飲んでいるか」が分かる情報が手元にあると、周りの専門職に伝えやすいということです。薬そのものと、薬の情報は分けて考えます。

  • 薬そのもの:持ち出し用にどれだけ用意できるか、どう保管すればよいかを、かかりつけの医師や薬剤師に相談する
  • 薬の情報:お薬手帳、または薬の名前と飲み方を控えた情報を、本人が確認できる形で備え、必要に応じて家族や支援者とも共有方法を決めておく

薬のことは、必ず専門家に確認を
この記事は一般的な防災情報をお伝えするもので、薬の量や飲み方を指示するものではありません。持ち出し用の薬を増やしたい、保管方法を知りたいといった場合は、医師や薬剤師に相談してください。

眼鏡・補聴器・入れ歯・杖|ふだん使う人だけの確認

ここから先の用品は、ふだん使っている人だけが確認するものです。そして、物を持っているだけでは足りません。使い続けるための情報、電源、保管方法まで確かめておきます。

用品
物
情報
電源・保管
常用薬
物薬そのもの
情報薬の名前・飲み方・処方元
電源・保管薬ごとの保管条件(医師・薬剤師に確認)
眼鏡
物ふだんの眼鏡、必要なら予備
情報度数が分かる控え(作った店の連絡先など)
電源・保管割れにくいケース
補聴器
物補聴器本体
情報機種名、購入した販売店の連絡先
電源・保管電池式は予備電池、充電式は充電器と電源の確保
入れ歯
物入れ歯、保管容器
情報かかりつけ歯科の連絡先
電源・保管外したときに入れる容器、手入れ用品

眼鏡

ふだん眼鏡をかけている人は、夜間の避難でもすぐ手に取れる場所に置いておくことが第一です。予備の眼鏡をリュックに入れておく方法もありますが、全員に必要というわけではありません。古い眼鏡を予備にする場合は、今の度数で見えるかを一度確かめておくと安心です。

補聴器

補聴器は、避難所でのアナウンスや周りの人との会話など、情報を得るための大切な道具です。東京都心身障害者福祉センターは、補聴器を寝る前に枕元に置くなど、とっさの時にすぐ持ち出せるようにしておくこと、補聴器用電池の予備を準備しておくことを呼びかけています。

ただし、補聴器には電池を交換するものと、本体を充電して使うものがあります。充電式の場合は、予備電池ではなく充電器や、停電時に充電できる手段を考える必要があります。どの方式なのか、どう電源を確保すればよいかは、製品の取扱説明書や購入した販売店で確認してください。聞こえにくいことを周りに伝えるためのメモや筆記具も、あわせて用意しておくと役立ちます。

入れ歯

入れ歯を使っている人は、避難のときも入れ歯を持って出られるようにしておきます。東京都墨田区は、就寝中に外す場合は密閉できる容器に入れて枕元に置くと、持ち出しやすいと案内しています。避難生活での口のケアについては、日本歯科医師会なども情報を公開しています。具体的な手入れの方法は、かかりつけの歯科医に確認しておくと安心です。

杖・歩行補助具・靴

杖や歩行補助具は、ふだん使っているものを使い慣れた状態で持ち出すのが基本です。「災害のときのために」と、使ったことのない補助具を用意しても、いざというときに扱えるとは限りません。足元が悪い中を歩くことも考え、履き慣れた靴を枕元や玄関の近くに置いておくことも検討してください。

本人・家族や支援者・家庭備蓄で役割を分ける

本人固有の用品を、すべて本人のリュックに入れる必要はありません。かといって、全部を家族が持つのが正解とも限りません。三つの持ち方に分けて考えます。

本人がすぐ使うもの|身につける・本人のリュックへ

離れてしまうと困るもの、避難してすぐ使うもの。

ふだんの眼鏡補聴器入れ歯杖当面の常用薬お薬の情報

家族や支援者と分担を検討するもの

重いもの、予備、本人が管理しにくいもの。

水・食料の大部分補聴器の予備電池・充電器眼鏡の予備お薬情報の控え着替え

家庭備蓄|自宅での避難生活などに備えて保管するもの

持ち出し用とは分けて、在宅避難などで使うもの。

衛生用品・介護用品のまとめ買い分口のケア用品の予備数日分の水・食料

チップは一例です。本人が自分で管理したいと考えている場合は、その意向を大切にしてください。また、家族が本人の用品をすべて持っていると、別行動になったときに本人が使えません。お薬の情報のように、本人が確認できる形で備え、必要に応じて家族や支援者とも共有方法を決めておきたいものもあります。家族での分担の考え方は防災リュックは何個必要?で詳しく整理しています。

重さは「本人が安全に移動できるか」で確かめる

政府広報オンラインは、持ち出せる量の想定として、こども・高齢者で約6kgという目安を示しています。ただ、高齢者といっても体力や体の状態は人によって大きく違います。この数字は、誰にとっても安全な上限という意味ではありません。

数字に合わせて詰めるのではなく、本人が荷物を持った状態で安全に動けるかを確かめます。安全を確保できる平時に、無理のない範囲で、次の点を見てください。

  • 背負ったまま、ふらつかずに立ち上がり、歩けるか
  • 杖を使う人は、杖を使いながら荷物を持てるか
  • 階段や段差で、手すりにつかまれるか
  • 途中で痛みや息切れなど、明らかな無理が出ないか

無理が見えたら、中身を減らす、持ち方を変える、家族や支援者と分担できる場合は分担するなど、本人の状況に合わせて調整します。避難の安全を妨げるほどの荷物を持たないことを優先してください。重さの考え方全般は防災リュックの重さは何kgまで?で解説しています。

一人暮らしと家族同居で、備え方は変わる

家族と同居していれば、荷物や情報を分担できます。一方、一人暮らしの場合は、家族が駆けつける前提で備えを考えることはできません。どちらの暮らし方かで、準備の重点が変わります。

一人暮らしの場合

  • 本人が持てる範囲に、本当に必要なものを絞る
  • 家族や知人の連絡先を、紙にも控えておく
  • 居場所を知らせるホイッスルなどを手の届く場所に
  • 自治体や地域で利用できる見守り・避難支援などがあるか確認する
  • 自治体の避難支援の制度を確認しておく

家族と同居の場合

  • 誰が何を持つかを決めておく
  • 家族が不在の時間帯に本人だけで避難する場面も考える
  • 本人の用品の場所と使い方を、家族も知っておく
  • お薬の情報は、本人と家族の両方が持つ

同居していても、日中は本人だけが家にいることは珍しくありません。「家族がいるから大丈夫」ではなく、本人が一人のときにどう動くかも一度話し合っておいてください。

避難の支援を受ける制度を確認する

一人で避難することに不安がある場合は、自治体の制度を確認しておくことも備えの一つです。

公的機関で確認できること

災害対策基本法では、災害時に自力で避難することが難しく、支援が必要な人(避難行動要支援者)の名簿を作成することが市町村に義務づけられています。令和3年の法改正では、一人ひとりの避難方法をまとめた「個別避難計画」を作成することが、市町村の努力義務とされました。平常時に名簿の情報を避難支援にかかわる人へ提供するには、条例に特別の定めがある場合を除き、原則として本人の同意が必要とされています。

名簿に載る人の範囲は、市町村が定めます。年齢だけで決まるものではないため、「高齢だから必ず対象になる」とは限りません。制度の内容や登録の方法は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の窓口に確認してください。介護サービスを利用している場合は、ケアマネジャーに相談するのも一つの方法です。

避難先で伝えたい情報をまとめておく

避難先で体調を崩したときや、周りの人に配慮をお願いしたいとき、本人が落ち着いて説明できるとは限りません。伝えたいことを紙にまとめておくと、本人も家族も助かります。

  • 飲んでいる薬と、薬のアレルギー
  • 持病と、かかりつけの医療機関
  • 使っている医療機器や、介護で配慮してほしいこと
  • 聞こえにくさ、見えにくさなど、伝え方で気をつけてほしいこと
  • 家族や支援者の連絡先

個人的な情報を、外から見える場所に書かない
持病や薬の情報は、大切な個人情報です。リュックの表面や名札などに書かず、内側にしまっておき、見せる相手を本人や家族が選べるようにしておきます。

連絡先や身分証などの重要な情報の持ち方は、防災リュックに現金はいくら必要?小銭・身分証など貴重品の備え方もあわせてご覧ください。

防災セットに「本人の日常」を足す

市販の防災セットは、誰にでも共通する基本の用品をまとめてそろえる土台として役立ちます。ただし商品名の「1人用」は、1人分の用品をまとめたという意味です。高齢者1人に1セットが必要、という意味ではありません。

IPIC SONAEの「防災リュック 1人用47点セット」には、保存水、保存食、ライト、ラジオ、携帯簡易トイレ、ホイッスルなどが含まれています。一方、公式ページの内容物一覧に、常用薬、眼鏡、補聴器の電池、入れ歯の保管容器は含まれていません。

商品開発の現場から

セットの中身は、多くの人に共通する初期避難の用品を想定して選んでいます。だからこそ、日常の棚卸しで見つかった本人固有の用品は、セットとは別に足す必要があります。また、用品を足すほど重さも増えます。セットをそのまま背負うのが負担になる場合は、本人が持つものと家族が持つものに分けることも考えてください。

基本の防災用品をまとめて準備したい方へ

保存水や保存食、ライト、ラジオ、携帯簡易トイレなど、初期避難で使う用品を1人分まとめた「防災リュック 1人用47点セット」をご用意しています。準備の土台として、常用薬や眼鏡など、ご本人の日常に欠かせないものを加えてお使いください。

1人用47点セットを見る 防災リュック一覧を見る

状況が変わったら見直す

本人固有の用品は、体の状態や暮らしの変化とともに変わります。次のような変化があったら、中身と分担を見直すタイミングです。

処方
薬の種類や飲み方が変わった。お薬の情報も書き換える
眼鏡の度数
眼鏡を作り替えた。予備が今の度数に合っているか
補聴器の方式
電池式から充電式に変えた、など。予備電池や充電器の準備が変わる
介護・衛生用品
使う用品やサイズが変わった
体の状態
歩く力や、荷物を持てる量が変わった
連絡先・分担
家族の住まいや連絡先、支援してくれる人が変わった

通院や薬の受け取りのタイミングで、お薬の情報を書き換える習慣にすると続けやすくなります。点検の進め方は防災リュックの中身チェックリストを参考にしてください。

高齢者の備えチェックリスト

全員が確認する項目

本人の日常をもとに、誰もが確認すること

  • 朝から夜までの日常をたどり、本人固有の用品を書き出した
  • 書き出した用品を、本人・家族や支援者・家庭備蓄に振り分けた
  • 薬の名前や飲み方が分かる情報を本人が確認でき、必要に応じて家族や支援者との共有方法も決めている
  • 持ち出し用の薬について、医師や薬剤師に相談した
  • 避難先で伝えたい情報を紙にまとめ、内側にしまっている
  • 本人が荷物を持って安全に動けるか、平時に確かめた
  • 家族や知人の連絡先を紙にも控えている

該当する方のみ確認する項目

ふだん使っているものだけ確認してください

  • 【眼鏡を使う方】夜間でもすぐ手に取れる場所に置いている
  • 【補聴器を使う方】電池式か充電式かを確認し、予備電池または充電手段を用意している
  • 【補聴器を使う方】聞こえにくさを伝えるメモや筆記具がある
  • 【入れ歯を使う方】外したときの保管容器を決め、持ち出せる場所に置いている
  • 【杖・歩行補助具を使う方】ふだん使っているものを持ち出せる位置に置いている
  • 【一人暮らしの方】自治体の避難支援の制度を確認した

よくある失敗

  1. 「高齢者向けグッズ一覧」を全部入れる本人が使わないものまで入り、重くなります。日常の棚卸しで挙がったものだけを選びます。
  2. 薬を自己判断で増やしたり、移し替えたりする薬ごとに保管条件や扱い方が違います。医師や薬剤師に相談してください。
  3. 飲んでいる薬の名前が分からない薬が手元にないときに、伝える手段がなくなります。
  4. 眼鏡や入れ歯など、本人の必需品が抜けている毎日使うものほど、防災の備えとしては意識から漏れがちです。
  5. 補聴器が電池式か充電式か確認していない予備電池を入れても、充電式なら使えません。
  6. 重い水や食料を本人のリュックに集中させる本人が安全に動ける重さを超えてしまいます。
  7. 家族が本人の用品を全部持っている別行動になったとき、本人が使えません。
  8. 処方や連絡先が古いまま情報が古いと、かえって混乱のもとになります。
  9. 一人暮らしなのに、家族が来る前提で準備している自分から助けを求める手段を用意しておきます。

よくある質問

高齢者の防災リュックには何を入れればいいですか?
水・食料・ライトなど誰にでも必要な基本の用品を土台に、本人の日常に欠かせない用品と情報を加えます。薬、眼鏡、補聴器、入れ歯、杖などは、ふだん使っている人だけが必要です。朝から夜までの生活をたどって、本人が使っているものを書き出すと漏れを防げます。
常用薬は何日分入れればいいですか?
薬の種類や処方のされ方、保管の条件によって違うため、一律の日数はお示しできません。持ち出し用にどれだけ用意できるか、どう保管すればよいかは、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。あわせて、薬の名前や飲み方が分かる情報を控えておくと、薬がないときにも伝えやすくなります。
お薬手帳は持ち出したほうがいいですか?
薬の情報を伝える手段として役立ちます。過去の災害でも、厚生労働省は薬局に対し、お薬手帳などで服薬情報を確認するよう求めています。原本を持ち出せない場合に備えて、薬の名前と飲み方を控えたメモを家族も持っておくと安心です。
補聴器の電池は予備が必要ですか?
電池を交換するタイプの補聴器なら、予備電池の準備が考えられます。充電式の場合は予備電池ではなく、充電器や停電時の充電手段を確認する必要があります。どちらの方式かは、取扱説明書や購入した販売店で確認してください。
眼鏡の予備は必要ですか?
ふだん眼鏡をかけている人にとっては、予備があると安心材料になります。ただし全員に必要なものではありません。古い眼鏡を予備にする場合は、今の度数で見えるかを確かめておきましょう。
入れ歯はどうすればいいですか?
避難のときも持って出られるようにしておきます。自治体の案内では、就寝中に外す場合は密閉できる容器に入れて枕元に置くと持ち出しやすいとされています。避難生活での手入れの方法は、かかりつけの歯科医に確認しておくと安心です。
高齢者の防災リュックは何kgまでが目安ですか?
政府広報オンラインは、持ち出せる量の想定として「こども・高齢者で約6kg」という目安を示しています。ただし体力や体の状態は人によって大きく違い、誰にとっても安全な上限ではありません。平時に安全な範囲で実際に荷物を持って動き、無理がないかを確かめてください。
一人暮らしの高齢者は何を準備すればいいですか?
本人が持てる範囲に必要なものを絞り、家族や知人の連絡先を紙にも控えておきます。居場所を知らせるホイッスルなどを手の届く場所に置き、自治体や地域で利用できる見守り・避難支援などがあるか確認しておくことも備えになります。
避難行動要支援者名簿には誰が載りますか?
名簿の作成は市町村に義務づけられており、名簿に載る人の範囲は市町村が定めます。年齢だけで決まるものではありません。制度の内容や登録の方法は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の窓口に確認してください。

まとめ

高齢者の防災リュックは、年齢から中身を決めるものではありません。朝から夜までの日常をたどり、本人が毎日使っているものを見つけることから始まります。

見つけた用品は、代わりがきくか、すぐ必要になるかで優先度を決め、本人・家族や支援者・家庭備蓄に振り分けます。薬や補聴器は、物だけでなく情報や電源まで確かめておくと、いざというときに使える備えになります。一人暮らしの方は、自分から助けを求める手段と、自治体の制度も確認しておきましょう。

今日、本人と一緒に「朝起きてから何を使っているか」を話してみる。その小さな一歩が、もしものときの安心につながります。防災を、『じぶんゴト』に。IPIC SONAEは、日々の見直しを通じた備えを提案しています。

AUTHOR / SUPERVISOR

執筆・監修|防災士 山根

アイピック株式会社所属。2024年に防災士資格を取得。IPIC SONAEで展開してきた製品すべての開発に携わり、商品開発で得た実務的な知見と防災士としての専門知識をもとに、防災情報を執筆・監修しています。

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参考情報・関連情報

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